最相葉月『中井久夫 人と仕事』

曇。
 
図書館から借りてきた、『吉本隆明全集27(1992-1994)』を読み終える。吉本さんの全集は通読ではなく、拾い読みしているだけであるが、本書はたぶん隅々まで読んだ。本書の執筆年代はちょうどわたしが学生のときに当たっていて、ここまで来ると同時代を生きたという感覚が強く、感慨におそわれる。吉本さんのファンというのは、その書いたもののファンと、吉本さんの人柄のファンと、両方いると思うが、わたしは書き物から滲み出る人格のファンなのかも知れない。
 吉本さんをあまり読んだことのない人には、大理論書もいいけれど、吉本さんの片々たる文章をお勧めしたい。吉本さんの世界はすべてがつながっており、どこを読んでも吉本さんである。例えば下らないテレビの下らない感想を読んで、大思想家って下らないんだなって軽蔑するのもいいだろう。わたしは逆で、そんな吉本さんも好きであるし、得るところが多い。大理論の方は、ここでは書かない。

 
 
新幹線の切符をネットで事前予約・購入してみようと調べたのだけれど、「スマートEX」というのでは、結局駅の券売機で切符を手に入れないといけないのだな。交通系ICカードがあればそれに電子的に紐付けて、そのまま自動改札を通れるみたいだけれど、交通系カードは残念ながらもっていないのだよ。
 
 
パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 |HIMARI - ケリ-リン・ウィルソン - NHK交響楽団 | YouTube
ネットで「小学生の天才少女」として話題になっていた HIMARI (吉村妃鞠、2011-)さんを初めて聴いてみた。わたしはパガニーニをほとんど聴かないので、よく判断できないとは思うのだが、何となく五嶋みどりさんみたいなのを想像していたところ、どこまでものびやかで素直なヴァイオリンが聴こえてきたので、ちょっと意外な感じがした。結構、地味というか。射程は充分広く、技術もわたしにわかる限りでは、見事である。ただ、音楽が心にくい込んでくる、というようなところが弱いのは、年齢からして仕方がないのか。正直いって、音楽としては伴奏のケリー=リン・ウィルソン(初めて聴く。「ケリ-リン」という表記はあまりないようだ)の方が、何というか、大人で、手応えがある感じがした。この曲はわたしにはあまりおもしろくないのだが、それを強い個性で聴かせてみせる、みたいなところはなかった。
 でも、そうだな、こういう素直なのびやかさっていうのは、努力では決して得られないものなんだよね。気持ちがいいというか、そういう魅力はある。これを、いまは小さい音楽家が、ずっともっていられるものか、わからないけれども。アンコールのバッハ(BWV1001 のアダージョ)でも、同じことを感じた。素直でのびやかなバッハ。悲しみもないことはない、バッハの音楽はすばらしい、ということは、伝わってくる。
 なお、N響はいいオーケストラだなって。ヨーロッパやアメリカのオケとはまたちがい、なんかN響にしかないフレッシュな魅力があると思う、ついでながら。2023.3.11 のライブ録音。
 
昼。
HIMARI | Beethoven Violin Sonata No,7 Op.30-2 / Curtis Recital 12years old | YouTube
HIMARI さんのベートーヴェンを冒頭数分、ちょっとだけ聴いてみる。技術的には何の問題もなさそう、しかしベートーヴェンとしては凡庸。上に書いたよさもだいたい同じ。あとでその気になったら全曲聴いてみます。
 

 
窓口で新幹線の予約をしようと JR岐阜駅を訪れるも、定期券関連か、窓口が大混雑。なので券売機でやってみると、指定席の確保、乗車券の同時購入など、必要な入力を済ませて確認までし、あとは発券というところで、なんか「お取り扱いできません/窓口でお訊ね下さい」とかいうような文字が。でも、窓口は大混雑だし、あきらめてがっくりする。
 
県図書館。最相(さいしょう)葉月『中井久夫 人と仕事』(2023)、ガストン・バシュラール『水と夢』(邦訳2008)、岩田慶治道元との対話』(文庫版2000)、丸山善宏『万物の理論としての圏論』(2023)、『吉本隆明全集28』(2022)などを借りる。
 ついでに県美術館を訪ねようと思っていたのだが、なんだかがっくりした気持ちを引きずっていて止める。
 
ミスタードーナツ バロー市橋ショップ。ポンデ宇治抹茶 和三盆わらびもち+ブレンドコーヒー528円。
 いま借りたばかりの『中井久夫 人と仕事』を読み始める。目頭を熱くしながら読む。我々はなんでこんなに空疎になってしまったのか。それにしても、「才能」「天才」とやらはいくらでも豊富に存在するのに、心底から実力のある真摯な人材がまったくいない(というのは、いいすぎなんだろうが)この現代日本というのはどうなっているのか、などとつい思ってしまう。例外は、(無知なわたしの知る限り)中沢さんや玄侑さん、細野さんくらいか。そもそも、(精神の)貧しい自分が、かつての日本人に対して恥ずかしい。
 

 
結局、新幹線の予約は「スマートEX」に会員登録して、それでクレジットカード支払いでやった。あとは後日再び JR岐阜駅へ行って、発券してくる。わたしはスマホをもっていないからね。やー、めんどうだった。
 
夜。
図書館から借りてきた、最相葉月中井久夫 人と仕事』読了。わたしのよく知らなかった晩年の中井久夫さんの話が興味深かった。先生はコミットして、世界をやさしさへ変えていく人だな。わたしの孤独であり、誰とも関わらず、何もしないところが、先生といちばんちがう点であろうか。って、比較自体が不遜であるが。
 先生の若き日の「風景構成法」が、河合隼雄先生との沸き立つような会話にヒントを得たというのは、まことにおもしろいな。河合隼雄と、中井久夫
 県図書館に『中井久夫集』があるから、読まないといけないな。「いまは人のために尽くしたい、人を喜ばせたいという人が理解されない時代ですね。」(中井久夫の言葉、p.137)