曇。ぶ厚い雲が垂れ罩めている。夜の間に降ったようだ。
今朝の新聞で読んだのだが、ルーマニアの大統領選挙の第一回投票で「陰謀論」めいた主張をする候補が首位に立ち、憲法裁判所が選挙の無効を決めたという(後記:二週間くらい前のこと)。これもまた、SNS (特に TikTok)で爆発的に支持を広げたらしい。原因はそれだけでないともいうが、それにしても、SNS の暴走は人類の手に負えなくなってきているようにも、わたしごときには見える。
しかし「陰謀論」がこれほど SNS で支持されるというのは、わたしみたいな情弱には正直いってよくわからない。相当に高い知性をもつ人が、「陰謀論」にハマってしまうのだ。「反ワクチン」でも、「情報強者」である若い人たちがたくさん支持した。「自分(たち)だけが真実を知っている」という感覚が、そんなに気持ちいいのだろうか。そして、ハマったらおしまい、聞く耳をもたない、ほとんど、(悪性の)「宗教」ではないか。なんか、わたしのような古い人間にとってのあたりまえの「常識」が、通用しなくなってきているようだ。
マジ、「陰謀論」って何なの?って感じ。例えばフィルターバブルとかで、ホントに説明できんの?
NML で音楽を聴く。■クヌート・ヴォーゲ(1961-)の「Tapt slag」、無伴奏フルートのための「メドゥーサ」、無伴奏フルートのための「Får eg likna deg」で、フルートはインゲラ・オイエン、他(NML)。これはクヌート・ヴォーゲのフルート作品集、ヴォーゲはノルウェーの作曲家・ピアニストで、日本ではほぼ無名のようだ。
昼。
(袋入り調理用の)高山ラーメンを食って体が温かくなった。寒いもんなー。もやし入り生卵載せ、肉屋の焼豚。
■シューベルトのピアノ・ソナタ第二十一番 D960、モーツァルトの デュポールのメヌエットによる九つの変奏曲 K.573 で、ピアノはルドルフ・フィルクシュニー(NML)。1963年の録音。これでアルバム一枚を聴いた。
時雨れる。コメダ珈琲店各務原那加住吉店。たっぷりコメダブレンド600円。
栗原康『何ものにも縛られないための政治学』の続き、第二章「自由をぶっとばせ」、第三章「革命はただのっかるものだ」の途中まで読む。いやー、栗原さん、ぶっとんでるなあー、まったく、我々どうしようもないクズのための本だ、こんなのはめったにない。
しかし、いつもながら思わずふきだしたり、泣きそうになりながら読んでいたのだが、段々としんみりしてきてしまった。結局オレたちは、いろいろいったって金や、金持ちや、権力の奴隷じゃないか、なかなかそこから抜け出せないよな、栗原さんがありがたいことに、我々を先導してくれても。ほんと、いってること、正しすぎるくらい、正しいんですけど。
『さて、なんでこんなに窃盗団のはなしばかりしたのかというと、そこに自由とはなにかということがあらわれているとおもったからだ。さいきんリベラル、リベラルと、右傾化にたいしてなんでもリベラルであることがいいことのようにいわれているが、ほんとうのところ、リベラリズムの自由というのは、財産をたくわえるのっていいよね、もっともっとふやしていきましょう、どっちがすごいか競争しましょうということでしかない。』(p.89)
結局、もっと所有したい、主人になりたい、支配したいってことだ。つまるところ、そういう欲望の奴隷になっているにすぎない、と。マジそのとおりだろう。泣くぜ。
『宣言しよう。オレは負けているぞ。なにとたたかっているのって? 自由だ。自由とドロボウとの勝負なんだ。この勝負にかち目はない。だって、はじめから社会の敗北者になることをのぞんでいるのだから。どこにいってもクズあつかい。だったら、なんどでも、なんどでも宣言してやればいい。うおお、オレは負けているぞ。ブヒィ、ブヒィ。』(p.90)
いや、これ禅だな。
栗原さんはまあただのバカなんだが、でもただのバカじゃないのは、そこに「義」(でも「惻隠の情」でもなんでもいいが)のようなものがあるからだ。犯罪をするのだって、弱いものをいじめるなら金持ちのクズどもと同じだ、ただ主人になって、他人をふんづけて隷属させたいだけだ、と。革命を起こしたって、権力を握っちゃダメだ、それもつまるところ、もうひとつの支配でしかない。じゃあ、どうすりゃいいの? それは実際に栗原さんを読んで欲しいが、簡単な道がないことはいっておこう。なんといっても、国家+資本主義が、完全に出来上がってしまっている現在だ。そこに「自由」を見出すのは、とてつもなくむずかしい。自由が、すぐにおためごかしのリベラリズムになってしまう現在なのである。どこを向いても、隷属への道しかない。しんみり。
先日孤独死された「トラックさん」のところのクロちゃん。居場所がなくてフラフラしている。
●【雨宮処凛のせんべろ酒場】アナキズム研究者(栗原康さん)20241128 - YouTube
まだ観ていないけれど、ここにメモしておく。
●第705回:個人的なことと共に振り返る2024年〜出した本、病気発覚、そして至ったある境地〜の巻(雨宮処凛) | マガジン9
夜。
『おとなりに銀河』(2023)第12話(最終話)まで観る。やー、正直いうと、半分くらいまでは退屈だったが……いやあ、よかったです。最後まで何も起きないって聞いていたけれど、そんなことないじゃん! ちゃんとドキドキさせてくれるじゃん!
五色さんの作画、気合い入ってたよね、ずっと美人でかわいかった。ある種の「お姫様」設定だったのだが、ピュアでひたむきで正直で、仕事も頑張りやさん、で思うけれど、これ、女性向け作品だよね。恋心もめっちゃ直球で、彼氏より積極的。男の方は、同性のわたしから見ると、あんまリアリティがない。ただ、五色さんをとても大事にしているのはわかる。女性なら、こうされたいのだろうって思うが、まあ、わたしがいってもね笑。
というくらい、本作の主人公は五色さんの方。あと、彼氏の小さな弟妹の設定がよかったな、カップル二人だけの関係じゃなかったのがね。
いや、まったく話題にすらならなかったし、一般的な評価も低い作品だが(ある場所ではクソアニメとしてあった)、わたしには後半で、かなり好感をもった。たぶん2期ないだろうが、きれいに終わったからこれだけでもいいと思う。