池内紀『世の中にひとこと』

2015年冬_120晴。
音楽を聴く。■ベートーヴェン弦楽四重奏曲第十一番op.95(ブッシュQ 1932)。■■ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第二番op.18、パガニーニ狂詩曲op.43(ラン・ラン、ゲルギエフ)。冒頭、いきなり超スローで始まって、ラン・ラン、やっているなと思う。ピアニストの実力は明らか。全体的にとてもおもしろく聴き、これがリサイタルなら満足というところであろう。しかし思うのだが、ラン・ランはどんな風にも弾けるので、聴いていて「こんなのはどう?」と言われている気がして、自然な音楽の流露という感じではない。どうしても作り物っぽいところが拭えないのだ(そう思うのは、自分だけであろうか)。通俗指揮者ゲルギエフは、この演奏にぴったりな気もするが、これが例えばアバドだったらとつい想像してしまう。まあ、最後は盛り上がります。しかしこの曲、単なる大甘のポピュラー・ソングではないと思っているのだが。危険なところもある筈なのに、ラン・ランは健康的なんだよなあ。以上、僕の感想が気に入らなかった人、御免なさい。ラン・ランの実力は認めるのです。
 それから、マリインスキー劇場管弦楽団というのは知らないが、木管に上手いのがいるな。パガニーニ狂詩曲の方は、最初は外面的な演奏かと思ったが、クオリティの高さに説得させられてしまった。見事なものだな。ラン・ランは楽々と弾いている。ピアノの響きの美しさも魅力的。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&パガニ-ニ狂詩曲

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&パガニ-ニ狂詩曲


図書館から借りてきた、池内紀『世の中にひとこと』読了。文章は軽妙で上手いが、困惑させられた。池内さんが、「今の日本はダメ」本を書くとはね。確かに仰ることはご尤もなことばかりだが、日本のダメさに加担している者としては、肩身が狭くなる。そりゃ、昔の日本はよかったのだろうなあ。ドイツも立派なのだろうね。