川田順造『人類の地平から』/橋本幸士『Dブレーン』

晴。
音楽を聴く。■ヘンツェ:交響曲第三番(ヘンツェ)。

川田順造『人類の地平から』読了。副題「生きること死ぬこと」。一応文化人類学者のエッセイ集ということなのだろうが、内容は充実している。アフリカと日本、フランスという、三つの視点(著者は「三角測量」と呼んでいる)を持っておられるのが大変な強みだ。語られていることを要約することは自分にはできないが、日本人の「現在」を知るのに、大きなヒントを与えられる。自分の言葉にすると陳腐になってしまうが、インターネットと「土」の両方を体験することが大切なのだろうかと思った(しかしそんな風に云ってしまえば、「インターネットと田舎暮らし」のような、恥ずかしくもプチ・トレンディなことになってしまいそうでもあるが)。「ネットとリアル」と云ってもいいのだろうが、ちょっとちがうような気もする。それにしても、著者の半生を語った講演録には、その人生の豊かさに衝撃すら覚えた。自分と比較するなどは愚かだとわかってはいるが。大先生である。
 唐突に云うけれども、今は「意味」も大事だが、それ以前の「感受性」を広げることも重要なのでないか。自分のやるべきなのも、そういうことなのではないかと漠然と思う。

人類の地平から―生きること死ぬこと

人類の地平から―生きること死ぬこと

図書館から借りてきた、橋本幸士『Dブレーン』読了。専門家(学生)向けの本だが、数式は最小限で、基本的に最先端の雰囲気を感じるためのものと云えよう。超弦理論プロパーの記述は少ない。自分としては、わかったようなわからぬような。いつか、これらの意味が数式レヴェルで理解できれば、楽しいのだろうなどと妄想する。まあ物理学でも、とてつもなくハイ・レヴェルな世界の話です。
Dブレーン―超弦理論の高次元物体が描く世界像 (UTPhysics)

Dブレーン―超弦理論の高次元物体が描く世界像 (UTPhysics)