今野晴貴『生活保護』/『パウル・ツェラン全詩集1』

日曜日。雨。
音楽を聴く。■ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第二十八番op.101(ギレリス)。■ブーレーズ:第二ソナタポリーニ)。面白かった! この曲は繰り返し聴いてきたが、このモダンの極地のような音楽を、以前にも増してより深く楽しめたのは嬉しい。■ブーレーズ:ル・マルトー・サン・メートル(ブーレーズ2002)。自作自演で、色彩感の豊かな演奏。

ブーレーズ:ル・マルトー・サン・メートル(主のない槌)

ブーレーズ:ル・マルトー・サン・メートル(主のない槌)


図書館から借りてきた、今野晴貴生活保護』読了。日本という国は、公私かわらず弱者に冷たい国だ。生活保護を受けている人間を妬み、蔑視する。そういうことを、法律違反までして、一部の公務員が率先(すら)して行っている。病気なのに無理やり働かせたり、働き口がみつからず飢えている人間を、餓死させたりする。まあしかし、それはもうわかっていることで、本書を読んでも意外感はなかった。無論、弱者に冷たい人間ばかりではないのも確かだろうが、「世間」という摩訶不思議な集団になると、やはり弱者に冷たい。自分も先行き不安だから、人ごとではない。
 それにしても、生活保護に関して、ケースワーカーの裁量が大きすぎるのではなかろうか。酷いケースワーカーに担当されると、大袈裟でなく地獄を見ることになる。そうしたことは、本書を読むまで知らなかったことである。また、いわゆる「無料低額宿泊所」の問題。すなわち、貧困者を食い物にする「貧困ビジネス」の存在。
 なお、著者はNPO法人POSSEの代表。POSSEのホームページはこちら。また、山下ゆ氏の新書書評(参照)がいつもながら纏まっている。図書館から借りてきた、『パウル・ツェラン全詩集1』読了。中村朝子訳。
パウル・ツェラン全詩集 第?巻

パウル・ツェラン全詩集 第?巻