カフカ『アメリカ』/内井惣七『論理的思考のレッスン』

晴。
カレー「CoCo壱番屋」東興町店にて昼食。ロースカツカレー680円。

フランツ・カフカアメリカ』読了。カフカ初期の長編。カフカアメリカへ行ったことはなく、すべては想像で書かれているのだが、本書にはそうしたことはさほど関係あるまい。正直言って、カフカの小説の中では退屈な作品だと云うしかないと思う。カフカに特徴的な夢幻性とでも云うべきものが、本書には希薄だからだ。ただカフカらしいのは、主人公の行動がどうなっていくのか、まるで読めないということだ。話の筋は、殆ど確率的なゆらぎで、決定されているようにも見える。合目的性というか、作者がこれで何をしたいのかと云うことが、まるでわからない。作者のその場の思いつきで進んでいく、と云うのとも微妙にちがう。とにかく奇妙な世界だ。ただ、世界の「迷宮」性は、例えば『審判』と比べると徹底さを欠いている。袋小路に入り込んでいくような感覚は、共通するのだが。

アメリカ (角川文庫)

アメリカ (角川文庫)

内井惣七『論理的思考のレッスン』読了。論理学への入門書として、よくできた面白い本。論理学を初めて学ぶ人にもいいのではないか。自分も本書を読んで、もう一段レヴェルの高い本を読んでみたくなった。唸らされたのは、次の推論。これの真偽、果して判定できますか? 「すべてのアメリカ人は病人であり、しかもある病人は看護師である。ゆえに、ある看護師はアメリカ人である。」(p.83)もちろん、この文章が事実かどうかということではないですよ。飽くまで「推論として」です。