鈴木大拙『金剛経の禅/禅への道』/メルヴィル『ビリー・バッド』

晴。
図書館から借りてきた、鈴木大拙金剛経の禅/禅への道』読了。

金剛経の禅・禅への道 (新版 鈴木大拙禅選集)

金剛経の禅・禅への道 (新版 鈴木大拙禅選集)

メルヴィル『ビリー・バッド』読了。著者の遺稿。奇妙な小説だ。いったい著者がこの小説で何が書きたかったのか、なかなかわかりにくいが、本作に魅力があることも確かである。だいたい、主人公は本当にビリー・バッドなのか。ヴィア艦長ではあるまいし、と考えると、語り手あるいは作者その人が、主人公ではあるまいかなどと、変なことを思わされたりする。実際、語り手は本作の中に入り込んでいるし、ビリーは天使のように描かれていて、個性というものが感じられない。また、本作の魅力は、単純なストーリーにあるわけでもない。筋はと云えば、水夫ビリーが反乱の濡れ衣を着せられて、彼を陥れた上官を船中で撲殺し、自身も縛り首になったというだけのことである。まったく不思議な小説だ。
ビリー・バッド (岩波文庫 赤 308-4)

ビリー・バッド (岩波文庫 赤 308-4)