ブルース・チャトウィン『どうして僕はこんなところに』

晴。
だんだん疲れが溜ってきた。
ブルース・チャトウィン『どうして僕はこんなところに』読了。こんなに非凡な、漂泊の作家がいたとは。四十八歳で夭折した著者の、最後の本だという。旅から旅へという生活の中で、チャトウィンは見、感じ、考え続ける。会いたい人物があれば、会いに行ってしまうが、非凡な人物同士というのは、お互いにわかるのであろう。ここに描かれているのが、西洋の最高の存在たちの世界なのだろうか。そうした人々たちとヨーロッパで交わりつつ、世界の辺境へ彷徨っていく。自分などには考えられない世界だ。西洋文明の奥の深さを見せつけられる。
 それから、チャトウィンは行動の人だが、また文の人でもある。書物の読みが独特で、真似ができるものではない。また、明らかに強記の人でもある。様々な書物の、常人では思いつかないようなところから記述を拾ってきて、石を嵌めこむようにぴたりと活かす。感嘆しないではいられない。

どうして僕はこんなところに (角川文庫)

どうして僕はこんなところに (角川文庫)