倉山満『検証 財務省の近現代史』

晴。
今日は仕事が忙しかった。
倉山満『検証 財務省近現代史』読了。大蔵省(現財務省)の誕生から、現在までの歩みをコンパクトに検証している。聞いたこともないような話が多く、確かに面白いことは面白い。よく調べられているなと思う。しかしちょっと気になったのは、大蔵省は常にいい子ちゃんで、そのまわりで政治家たちや官僚、軍人、その他重要人物たちがちゃんちゃんばらばらをやっているという構図である。本書の内容が間違っていると云うつもりはなく、またそうしたことを確かめる力も自分にはないが、何とも筆致が通俗すぎはしまいか。善玉悪玉がはっきりし過ぎているというか。もちろん、自分にリテラシーがないということは考えられるが、どうも読んでいて白けてしまうのである。政治というものは、こんなにスッパリ切れるようなものではないという気がする。
 追記しておけば、本書はリフレ派親和性である。それはいいのだが、どこか納得できない感じが残る。これほど嘗ての大蔵省の肩を持ちながら、現在の財務省はダメだというのだろうか。なお、敢て云っておけば、昭和初期に大蔵省がいかに軍に対抗していたかを解き明かすところなどは、通説が次々にひっくり返されていって、爽快感を覚えないこともない。こうした部分の検証は、是非なされるといいだろうし、なされるべきでもあろう。

検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む (光文社新書)

検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む (光文社新書)