東浩紀『クォンタム・ファミリーズ』/インバル指揮のマーラー新録音

日曜日。晴。驟雨。
カルコスとBOOK OFF。
東浩紀クォンタム・ファミリーズ』読了。SF・哲学小説の大傑作。これは文学史に残るだろう。特に凄いのは細部のSF的意匠と同時代的リアリティだが、話自体も一点の弛みもない。読後に哀切感さえ残る。並行世界における人格の移転など、神林長平の『敵は海賊海賊版』を思い出したが、これは偶々似ていたのかも知れない。とにかくインパクトを受けました。同時代に天才がいるというのは、嬉しいことだな。
※追記 記した後、アマゾンのレヴューを読んだのだが、あまり評価されていなくて驚いた。SF的な意匠がわからない、というような意見が多かったが、自分はこれに感心したのだけれども。理系の眼から見ても、量子力学の扱いなど、もちろん著者が書いているのは科学からは外れているのだが、その外れ方が立派だし、格好いいと思った。こう、理系心をくすぐるというか。で、哲学オタク心もくすぐるのである。そこに、阿部和重舞城王太郎を思わせる、現代的描写がある。本当に盛り沢山だと思うが。

クォンタム・ファミリーズ

クォンタム・ファミリーズ

エリアフ・インバル指揮のマーラー交響曲第四番、都響との新録音を聴く。じつに音色が美しい。特に弦など、細部まで磨き抜かれている。時にテンポを極端に遅くしたりするが、違和感はなく、曲の情感に合っている。構築性よりは、細部にこだわった演奏だと云えようか。
マーラー:交響曲第4番

マーラー:交響曲第4番