ピエール・ルイス『アフロディテ』/山本義隆

晴。日中でも涼しいくらい。
散髪。
ピエール・ルイスアフロディテ』読了。古代アレクサンドリアの退廃した愛を描いて面白いことは面白かったが、このエロティックでデカダンな小説であるから、訳文がもう少し熟れたものになっていると、さらによかった。どちらかというと、乾燥した文体で訳されていると思う。

アフロディテ―古代風俗 (平凡社ライブラリー)

アフロディテ―古代風俗 (平凡社ライブラリー)

山本義隆『熱学思想の史的展開3』読了。全三巻完結。「温度」という概念が確立された(ウィリアム・トムソンによる)のが、これほど遅いとは意外だった。クラウジウスによる「エントロピー」概念の導入。熱力学第二法則の意味するところは、「熱」の拡散だけでなく、「物質」の拡散をも意味するのであり、しばしば誤解されているという著者の指摘は、自分にも当て嵌まった。まあ無知なのは自分だけではなく、著者により、竹内均なども見事に間違っていると腐されているが。それはともかく、大変な労作である本書を読んでいると、もう一度、熱力学の教科書を開いてみたりしたくなる。
熱学思想の史的展開〈3〉熱とエントロピー (ちくま学芸文庫)

熱学思想の史的展開〈3〉熱とエントロピー (ちくま学芸文庫)