秋月龍珉『禅仏教とは何か』

深夜起床。昨晩は早く寝た。

秋月龍珉師を読んだり。外が暗いうちは落ち着くというか、自分を見つめ返すのにいい。

曇。
秋月龍珉『禅仏教とは何か』読了。親切で大変な高さのある本。こういう類の本は、自分の未熟さをはっきりさせてくれるものほどよい本だ。結局、よい人は自分で見つけないといけない。ダメな人に就いたらそれまでである。

禅仏教とは何か (法蔵館文庫)

禅仏教とは何か (法蔵館文庫)

  • 作者:秋月龍珉
  • 発売日: 2020/05/15
  • メディア: 文庫
 

昼から珈琲工房ひぐち北一色店。クッツェーの『鉄の時代』の続き。第三部を読もうと思っていたのだが、重くて読み切れなかった。南アフリカ共和国アパルトヘイトを描き出した小説だが、白人の老女からの視点で書かれているのが特徴である。白人による黒人への弾圧を目の当たりにして、末期癌に罹っている老女は激しく揺さぶられるわけだが、老女の手紙(アメリカにいる娘へのという体裁である)という形を取っているので、状況がはっきりわかるわけではない。白人男性であるクッツェーは、実際に弾圧を体験したものだろうか、わたしは知らない。どちらかというと、老女の葛藤を描いた、心理小説の趣がある。手紙を綴る老女はインテリなのかどうか、文体はかなり文学的で、凝った表現に満ちている。

鉄の時代 (河出文庫)

鉄の時代 (河出文庫)

 

日没前、散歩。

あんまり上手く撮れていないけれど、父方の祖父の形見。




 
『鉄の時代』第三部を読み終える。読むのがしんどい。結局、お互いに殺し合っている人間たちにどう対したらよいのか、わたしには一般論は語れないということだ。黒人たちにとって白人は敵であり、白人警官たちには抵抗する黒人は殺害の対象であり、ヒューマニズムしかもっていない白人の老女は、そのどちらに対してもなすすべがない。末期癌に侵されている孤独な老女は、子供すら殺す白人に抗議の焼身自殺でも試みようかと思うのだが、そうしても誰の気持ちもこれっぽっちも変えられないことがわかっている。さて、実際には、アパルトヘイトはどのようにして終わったのか。それもわたしはよく知らないなと思った。

とりあえず Wikipedia の「アパルトヘイト」の項目を読んでみたが、これを見る限り、国際的な非難と経済制裁によって、アパルトヘイトは終了せざるを得なくなったように読める。有色人種たちの抵抗運動が、どれほどそれに関係しているのかは、これだとよくわからない感じだ。なお、アパルトヘイトに対する日本政府の態度ははなはだ煮えきらなかったもののようで、国連から遺憾の意を表明されたことがあるらしい。