シュトルム『みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ』

曇。小寒い。

スーパー。

リアル生活に妻も子供も友達もガールフレンドも恋人もいないさみしいおっさんであるわたしは、部屋で特に何もせずいつまでもごろごろしていられるので困ってしまう。コロナで引きこもりでも全然問題ない、社会に何とも不必要な人間だ。まったく碌でもない。ブログもつまらない。

カルコス。岩波文庫の新刊が、平積みされて確認できるようになったので、またここで買えるようになった。ちょうど鈴木大拙が新刊だったので購入。大拙はおそらく史上もっとも西洋に影響を与えた日本人なので、もっと岩波文庫に入ってよいと思っている。大拙は日本人には侮られがちだが、わたしは禅を世界に伝えたのが大拙で本当によかったと思う。というか、大拙が本物だったからこそ、あれだけの影響力をもったのだし、いまでももっているのだ。
あと買ったのは、秋月龍珉師、網野さん他の中世本、古典新訳文庫のシュトルムなど。古典新訳文庫はほんとえらいな。


シュトルムの短篇を読む。たぶん、いま若い人たちが読んでいるエンタメやマンガの方が、ずっと複雑で上手いにちがいない。これはいかにも可憐でシンプルだ。子供のころ将来を約束した幼馴染への失恋、それを老学究が思い出す(「みずうみ」)とは、素朴すぎていまなら笑われてしまうかも知れない。でも、わたしは嫌いではないのだが。さても、おっさんの読むようなものではないですかね。訳文はいま風の文章で読みやすいが、もっと古くさい文体でもよかった気もする、あくまでもわたしにはだが。さて、かつての岩波文庫の「みずうみ」は、誰の訳だったっけか。何十年も前に確かに読んだが、中身はいまではあんまり覚えていないのだった。(追記。調べてみると、岩波文庫のは関泰祐訳だった。手塚富雄先生ではなかったのか。)

シュトルム『みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ』読了。松永美穂訳。「人形使いのポーレ」もまた子供のときの恋の話だが、これはハッピーエンド。二人が大人になってから、現実にはあり得ない偶然で話が展開するのだが、わたしはこういうのに弱い。結局、お涙頂戴のピュアなハッピーエンドが好きなのだな、わたしは。特にすごい作品でも何でもないが、なかなかよかった。「三色すみれ」は先妻の娘と継母の間の葛藤の話で、こういう心理的な話も書けるのだ、シュトルムは。これもまあハッピーエンドで、それもよいかな。

 

録画しておいた、BSプレミアムの「まいにち養老先生、ときどきまる」を見る。
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いうところの「ほっこりした番組」のように見えるが、やはり知性はそんなに居心地のよいものではない。しかし(凡庸な感想だが)お若いな、とても82歳には見えない。養老先生の著書は100冊以上あるそうだ。若い人は、例えばホリエモンを読むのもよいだろうが、養老先生の本みたいなものを読むのもいいだろう。世界がそんなに簡単に片付くものではないことが、わかると思う。そうそう、猫のまるはお年寄りすぎて、もうほとんど置物みたいだ。