鳥海靖『逆賊と元勲の明治』

晴。
鳥海靖『逆賊と元勲の明治』読了。意外にと云ったら失礼になるだろうが、予想もしない面白さだった。題も内容解説もよくないのではないか。学術的な歴史書であるのにもかかわらず(?)、日本のそれではめずらしく、人物の(政治的)姿がくっきりと浮かび上がってくる好著だ。西郷隆盛大久保利通桂小五郎伊藤博文山県有朋ら、明治の大物たちと、明治天皇。この困難な時代を切り開いていった者たちが何を考え、どう行動したかを知ってみると、頭の下がるような思いがする。やはり明治は、語弊があるかも知れないが、「面白い」時代だったと云いたい。本書でも度々引かれている、『ベルツの日記』でも読み直したらという気もした。繰り返すが、小説ではなく学術書で、歴史上の人物にスポットを当てて書かれた本は、日本では滅多にないのだ。そして、それは紋切り型のイメージをなぞったものではなく、人物たちは意外な貌を見せている。とりわけ伊藤と山県。

逆賊と元勲の明治 (講談社学術文庫)

逆賊と元勲の明治 (講談社学術文庫)


このところネット遊びにハマってしまっている。時間がどれだけでも経っていくね。
アイザック・スターンベートーヴェン。ヴァイオリン・ソナタ第一番、第二番。第一番は、ここに新しい音楽が始まるという宣言。既にじつにベートーヴェンらしい曲になっている。演奏は名演で、とりわけ第二楽章の主題と変奏はじぃーんときてしまった。第二番はハイドンとの連続性を感じさせるというか、チャーミングな曲。それにしても初期ベートーヴェン、すばらしいではないか。この深い情感の豊かさは、初期の音楽から変らない。