曇。
佐々木力『科学技術と現代政治』読了。ちょっと古い本だが、左翼的な科学史家の立場から反原発を唱えている。自慢話も多いけれども、それはまあ愛嬌だ。著者は己をトロツキストと規定しており、それが現代においてどれほどの意味があるか、ということである。自分は、それは意外に意義があると思った。左翼的な概念は、それなりに長い年月の彫琢を経てきており、現実に斬り込む力はまだ充分にもっている。それはソ連の崩壊以後も、そしてポストモダン「後」においても、そうだと思う。自分には教えられることが多い。
- 作者: 佐々木力
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2000/06
- メディア: 新書
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またまたブラームスの弦楽四重奏曲第一番を聴く。我ながらこの曲が好きなのに呆れる。実際、知と情を満たす、ロマン派の完璧な一傑作だと思う。ブラームスの室内楽はすばらしいのだ。この曲がさほどポピュラーでないのは偏に、アンサンブルの難曲だからだという気がする。例えばエマーソンSQ(参照)のような、合奏なのにまるでひとつの楽器で演奏されているような、見事なアンサンブルで聞けば、ブラームスがいかに弦楽四重奏というものの限界まで、効果を追求しているかがわかるだろう。