G・ガルシア=マルケス『誘拐の知らせ』

日曜日。雨。
カルコス。
G・ガルシア=マルケス『誘拐の知らせ』読了。コロンビアの麻薬組織の引き起こした連続誘拐事件と、その顛末を詳しく書いた、ノンフィクションである。いやもう疲れた。大変に精緻な書きっぷりと驚くべき密度のせいで、疲労困憊。いったいどうしてこんな本を読んでいなきゃいけないのか、という阿呆な実感すら覚えたが、急転直下のラストでカタルシスを味わった。無事救われて、ああ、よかったなどと、つい思ってしまいましたよ。小説と見做して読んでも構わないのであるが、小説ではこの絶望的な停滞感が書けるだろうか。さすがはガルシア=マルケス、と云ってよいと思う。なお、翻訳ということを感じさせなかった、旦敬介の訳文も見事です。

誘拐の知らせ (ちくま文庫)

誘拐の知らせ (ちくま文庫)