三島由紀夫『不道徳教育講座』

日曜日。晴。
明日からひと月の間、忙しい。

三島由紀夫『不道徳教育講座』読了。語っている内容も面白いことはそうだが、それより何という見事な散文だろう。こんなエッセイでも、レトリックはそれらしく完璧だ。ところで本書は古書で買ったのだが、それで線がいっぱい引いてあったのだけれども、これがまた奇妙なところに引いてあるのだ。例えば、
「人間の尻尾というものは、フワフワしていて、猫の尻尾よりももっと柔らかで、ミンクのような手ざわりがあり、アンゴラ兎のようにほのぼのとしていて、これをつかんだ人を恍惚とさせます。つまりその人に、まちがいなく、好奇心の満足と、感傷と、誇りとを抱かせるのです。これこそ人間社会で、ワイロよりももっと美味な御馳走です。」
とかね。

不道徳教育講座 (角川文庫)

不道徳教育講座 (角川文庫)