『久生十蘭 ジュラネスク』

晴。
久生十蘭 ジュラネスク』読了。さすがは十蘭、凝りに凝った短編集だ。すべて初めて読むが、このようなスタイリストが現在いるか、という思いに捉われざるを得ない。キラリと光る、むずかしい漢語の使用も独特だ。思えば、漢籍に通じなくなったのが、我々の散文を貧しくしているのは疑いない。それから、文章に凝りに凝ってはいるが、確実にあるユーモアの利きも指摘しておこう。なかなか今、十蘭に接しにくいから、十蘭はもっと文庫にしてもいいでしょう。

久生十蘭ジュラネスク---珠玉傑作集 (河出文庫)

久生十蘭ジュラネスク---珠玉傑作集 (河出文庫)