詩本草/ミシュレ

曇のち雨。
柏木如亭『詩本草』(isbn:4003028015)読了。江戸時代の漂泊の漢詩人による、食べ物についての随筆である。一抹の爽風に遇ったかのよう。揖斐高による注が詳しい。
カルコスへ行く。「文學界」三月号の東浩紀の連載を立ち読みして、Digg って何だろうと思う。


ジュール・ミシュレ『愛』(isbn:4122048451)読了。「解剖学、戦争、批評、これが男の頭である。これに対し、女の器官はまた別である。女にとって第二の脳であるあの優しい器官は、愛の夢しかみない。天の平和、神の平和、結合、単一性そのもの、これが女の胸の宝である」などというのは、フェミニストが読んだら激怒しそう。全篇ほとんど甘ったるい文章だが、第四書「愛のものうさについて」は、辛辣で面白い。それから、こんな一節があった。
「フランスには、イギリス人の生活の真の根底をなしている或るもの、家族を物質的に結び合わせているものが欠けていることに、注意していただきたい。それは何か。戸と閂である。フランスにはそのどちらも存在していない。イギリスでは家族だけの独居(自らの意思で望んだ独居)が原則であるのに、フランスではそれは例外であり、特異であり、稀である。紹介されなくても推薦されなくても、あらゆる人間がただ人間であるという資格だけで、家に入ってくる。」
フランスの社交文化ということであろうか。