『佐藤幹夫の数学』

晴。
どうも無意識はかつてのトラウマを処理するつもりらしいな。うーむ。それから、あんまり寝過ぎるのはやはりいけないのか知らん。
大垣。ミスタードーナツ大垣ショップ。朝320円の文明。いま文明開化しすぎているくらいなのだけれども、僕にはミスドの文明で充分だな。ここのホットコーヒーで満足なので、安上がりな男。

坂本龍一『CHASM』を聴く。
久しぶりに聴いてみた。このアルバムが出てから、もう10年以上になるのか。新鮮な気持ちで聴いた。いま思うところでは、モダニズムの極限まで消化しきったところで、何をやるのかという風に感じたのだが、坂本龍一はかなり楽々とやっているようにも聴こえたのだけれども、どうなのであろう。坂本というと最近ではエコとか言ってダサいとか言われているそうであるが、そう言っている若い人たちがモダンの極限どころではないので、自分にはお話にならない。5000人のアイドルたちと恥ずかしいラップだけではないか。『CHASM』なんてとっくに超えてるよってのがあれば、教えてもらいたいものだと真剣に思う。ここには Ngo/bitmix のようなあまりに抒情的な楽曲もあるけれど、これだって安易な抒情性ではないと信ずる。せっかく坂本龍一がここまでやってくれているのだから、ここまで到達しないでどうしようかという気がする(そりゃ簡単ではないけれど)。

CHASM

CHASM

いま欧米のアート系の Tumblr などを見ていると、クールっぽいのは皆んなモダニズムで、そうでなければ世界中のエロ混淆(日本のはアイドル系か HENTAI)でノイズ狙いみたいなものか、どちらかという感じだ。僕は、これは理解できるのだけれど、どちらにもたぶん将来はないと思う。とにかくモダンは消化してしまうしかない。それが前提条件になると思う。
アマゾンのレビューではエラそうなことを言っている奴がめっちゃ多いけれど、こういうのに限って大したことがないのは見えきっている。古典なんてまったく知らない○○○。カスはどこまでいってもカスでしかないという思い(何様でスミマセン)。まあ、どうでもいいのですけれど。
重力(上) アインシュタインの一般相対性理論入門

重力(上) アインシュタインの一般相対性理論入門

重力(下)

重力(下)

某稲葉氏のブログで見かけたのだが、ハートルの『重力』って既に邦訳が出ていた筈、と思って見てみたら、やはりピアソンから出ていた。絶版か。ピアソンってプログラミング本の名著の翻訳もたくさん出していたのだが、これらは全滅。もしかして潰れたのかな。
僕がもっているのはこれ。訳者は同じだな。かなり親切で、類書のないようなユニークな一般相対性理論の教科書だったと思う。別に僕も消化しきってはおりませんので、ご安心下さい(?)。
重力 アインシュタインの一般相対性理論入門

重力 アインシュタインの一般相対性理論入門

  • 作者: ジェームズ・B・ハートル,James Hartle,牧野伸義
  • 出版社/メーカー: ピアソンエデュケーション
  • 発売日: 2008/12/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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図書館から借りてきた、『佐藤幹夫の数学』読了。木村達雄編。自分には何もわからないだろうと思って読み始めたのだが、最後までとてもおもしろかった。もちろんわかりはしないのだが、本書に佐藤先生自身が出来るだけわかりやすく己の数学を解説しているインタヴューがあって、それを読むとその発想の原点は僕などでもわかった気がするくらい基礎的な領域にあることが理解されて、感動した。それだからこそ、「佐藤の数学」は非常に豊かで大きな成果を生み、スクール(学派)まで作ったわけである。それに、先生の発想法がまたおもしろい。アインシュタインがそうだったように、佐藤先生は「イメージ」で考える方だったことが、本書からよくわかる。ここで「イメージ」というのは具体的な画像なのではなく、例えばバイリンガルが言葉を喋るとき、言語に左右されない「イメージ」がまずあって、それが知らず知らず個々の言語に射影されているというような、「言葉以前のもの」の総称を言う。実際、天才とはあらゆるジャンルで、この意味での「イメージ」で考えることができる人のことを言うのだろう。まさしく佐藤先生は天才だったようだ。また、先生には数学に対し、一種の情緒的な「感覚」がある。先生の最初の業績である「超関数」(佐藤スクールでは「超函数」と表記する)は、シュワルツのいわゆる distribution が「気に入らない」という理由が先にきて、発想されたものである。なかなか凡人には、こういうことはない。
 本書は佐藤先生へのわかりやすいインタヴューが多数収録されており、数式はあまり使われていないものも多くて、むずかしい数学は苦手な人(自分もそうである)でもおもしろく読める部分がたくさんある。素人の数学好きには是非お勧めするし、若い優秀な人も読んで欲しい気がする。優れた世界的学者の発言を母国語で読めるというのは、我々にとってまことに幸せであるということだと思う。
佐藤幹夫の数学

佐藤幹夫の数学