ホカート『王権』

曇。
A・M・ホカート『王権』読了。ハッとさせられるところもあるが、地雷原。文化人類学的思考は、今ではもっと進歩しているように思う。

王権 (岩波文庫)

王権 (岩波文庫)

柴田宵曲を読む。

ポリーニのピアノで、ショパンの九曲のノクターン(op.37, op.48, op.55, op.62, op.post.72-1)を聴く。ポリーニのように努力をする人というのは、スタイルにどうしても異物が混入する。そういう点が、音色の違和感や苛立ちを生んでしまうこともあって、芸術に必要なシンプルさを殺してしまうようなところはある。しかし、かかる点に目をつぶれば、ポリーニほどの人のノクターンが聞けないはずはない。円熟、いや、それとは多少違うのかもしれないが、深い音楽を聴かせる。こうしてショパン後期のノクターンを聴いていると、ショパン自身も直線的に深くなっていっているわけではないようだ。恐らく、op.48-2やop.55-1あたりが最高で、最晩年の音楽は、即興的と云えば聞こえはいいが、どこか取り留めがない。ショパンは若死にであるが(四十の声を聞いていない)、モーツァルトが典型的なように、若死にの人の晩年というものも、あるような気がする。
ショパン:夜想曲集

ショパン:夜想曲集