フォースター評論集

曇。昼過ぎから強い雨
大垣。BOOK OFF岐阜うさ店。
『フォースター評論集』読了。十九世紀の「良き趣味」を持ちながら、二十世紀の四分の三を生きなければならなかったのが、このE・M・フォースターだった。作家として「世紀の何人」といった偉大さは持ち合わせなかったが、寛容さと良き趣味をベースにしつつ、時代の野蛮にははっきりと「否」を申し立てたという点、よい意味でイギリス人らしかった。語り口は静かで、全体がぼうっとやわらかに発光しているような散文である。とりわけ、ヴァージニア・ウルフ論が出色だ。

フォースター評論集 (岩波文庫)

フォースター評論集 (岩波文庫)