シング『アラン島』/リヒテル晩年の録音

晴。
皮膚科。
境川堤の桜の若葉のトンネルが美しい。
シング『アラン島』読了。どこか宮本常一民俗学を思わせないでもない。ウィキペディアの「アラン諸島」の項目はこちら

アラン島 (岩波文庫 赤 253-1)

アラン島 (岩波文庫 赤 253-1)


リヒテルの弾くバッハを聴く。好きなフランス組曲第二番は、グールドの演奏ではテンポが速すぎるし、繰り返しがなくて物足りない。中庸を得た演奏となると、やはりリヒテルとなってしまう*1。概してグールドのバッハは爽快だが、じっくり聴きたいときには不向きな演奏も多い。バッハばかりではなく、リヒテルは晩年にDECCAやPHILIPSに多くの録音を残していて、テクニックは盛時の圧倒的なヴィルトゥオジティは失ったものの、簡素ながら、芯のある美しい音で、どれも調和のとれた素晴しい演奏になっている。普通のピアニストの晩年は、「精神性」の高さは感じられても、どこか不満が残る、といったものが多いのだが、リヒテルの演奏ほど、うまく「年をとって」みせたものは少ないだろう。モーツァルトソナタでも、結局いちばん満足できるのは、晩年のリヒテルのそれなのである。
Bach: English & French Suites

Bach: English & French Suites

*1:しかし、リヒテルほどの人がわざわざヴァリアントを弾くことはないと思うが。それはちょっと残念。