分業と生の全体性 / 吉田秀和『音楽のよろこび』

日曜日。曇。

分業はすばらしい。と同時に諸悪の根源でもある。分業においては、我々は自分の持ち分の小さな領域を完璧にしなければならないし、またすればよい。ゆえに、生の全体性はどうしても失われることになる。
 いずれにせよ、我々は分業を完全に否定して生きていくことはできない。分業の中に生きつつ、何とか生の全体性を確保しようとしながら生きていくしかない。

ごろごろ。

夜。
吉田秀和対談集の続き。ピアニストの園田高弘さんとの対談が、予想どおりおもしろかった。吉田さんはこの時点で、園田さんの演奏を聴いたことがあるのかな。まあチャンバラをやっているわけではないが、さすがの吉田さんも園田さんに踏み込まれて切られているところが幾つか見られるのがおもしろい。わたしはかつて NML で偶然園田高弘(1928-2004、Wikipedia)を発見して、愉快だった。日本人ピアニストにも、こんな実力者がいたのか、という感じだった。いまではほとんど忘れ去られたピアニストかも知れないが、NML でたくさん聴ける。いくらなんでも、もっと聴かれてよいと思っている。

NML で音楽を聴く。■バッハのイタリア協奏曲 BWV971 で、ピアノは園田高弘NMLCD)。中間楽章が特によい。わたしは園田の音が好きだな。■バッハの無伴奏チェロ組曲第三番 BWV1009 で、チェロはアシエル・ポロ(NMLCD)。■イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第二番 op.27-2 で、ヴァイオリンはマキシム・ブリリンスキー(NMLCD)。■ガルッピのピアノ・ソナタ 変ロ長調ホ短調 op.2-3 で、チェンバロはルカ・グリエルミ(NMLCD)。グリエルミ、すごいな。

図書館から借りてきた、吉田秀和『音楽のよろこび』読了。

音楽のよろこび

音楽のよろこび

  • 作者:吉田秀和
  • 発売日: 2020/10/24
  • メディア: 単行本