こともなし

晴。

新聞を読んでいたら、若松英輔さんがいまの若者たちにおける「自己責任論」の強固さについて書いておられた。それは、無意識のレヴェルにまで至っているという。わたしはいまの若者たちと接触がないのではっきりとはいえないが、大変に諾われる話だと思った。若松さんは、それは社会が強要したもので、若者たちに責任はないと仰っておられたが、そういう発想自体が彼ら彼女らにないとすれば、若松さんの気持ちが若い人たちに通じなくても無理はない。若松さんも似たようなことを書いておられたが、弱い者、役に立たない者、敗者、そういう者たちへの共感が極めて乏しくなっているように思われる。僕はこの「自己責任論」は必然だと思うし、これからますます強くなっていくように予想するが、どんなものだろう。自分がそのような「弱者」「敗者」になるという発想がないのだと思う。だから、「弱者」「敗者」の立場に落ち込んでしまったら、悲惨なのは当然だ。しかし、皆んなが皆んな「強者」「成功者」でいられる筈もないのである。


NML で音楽を聴く。■モーツァルトのディヴェルティメント ニ長調 K.136 で、指揮は小澤征爾サイトウ・キネン・オーケストラNMLCD)。いい演奏で、ちょっと感動した。カラヤンが自分の弟子だと公言したのはわたしは小澤しか知らないのだが、おもしろいことだと思う。小澤とカラヤンじゃ全然ちがうよという人もいそうだからな。小澤というとわたしにはクソマジメで感動的な音楽家であるのだが、そしてわたしの指揮者は小澤征爾だといいたいのであるが、カラヤンというと音楽はすばらしいにしても、人格的には最低の人間というのが一般的評価のように思えるのだけれども。わたしにはカラヤンという音楽家はもっとも謎めいており、畏怖すべき人であるという感じである。

老母を郵便局とかかりつけ医のところまで送っていく。

以下、自分用のメモ。
PCR論争に寄せて─PCR検査を行っている立場から検査の飛躍的増大を求める声に:日経メディカル
興味深い記事。この記事がすべての論点を尽くしていると仮定すれば、仮にPCR検査をもっと拡大すべきだったとしても(記事の論者はそれには否定的である、PCR検査は完全ではない、現在の検査人員に過度の負担をかけてよいのか、PCR検査という「銃弾」を撃ち尽くしてよいのか、という議論である)、検査人員と検査キットの不足で、日本では実際には検査の拡大は不可能なのだ。終わった感。なるほど、だからこれほどまでにPCR検査の拡大が反対されるわけだな(反対は特に、合理的な思考をすると見做されている知識人に多い)。なお、PCR検査を拡大すべきではないという方針(わたしはこれはまったく非合理的だと思う)は日本以外わたしは知らないが、論者は別にそれは問題でないという。日本は日本のやり方があるそうだから。なるほどな。

わたしの素人考え。
PCR検査を拡大すべきでないとする場合、感染者でもPCR検査を受けられない人たちがたくさん出るから、その人たちをどうするかということである。まず、その人たちは、発症して病が重篤化しても、治療(対症療法ではあるが)を受けることが遅れるか、不可能になる。それはやむを得ない「犠牲」と見做されることになる。また、潜在的な感染者が新たな感染源になることを防がねばならないから、非感染者も含めて(PCR検査を受けていない潜在的な感染者は、非感染者と区別がつかない)、人間同士の接触を(家族も含め)完全に近い形で断たねばならない。それは、現実には不可能である。

わたしの twitter 的印象だと、合理的思考をすると思われている類の日本の優秀な知識人たちの多くが、PCR検査の拡大に反対のようである(RT などでそれが知れる)。「PCR検査の拡大? バカなの?」みたいな人も少なくない。別に外国どうのと言いたくないけれど、日本では何でそんなことになるのかしら。わたしの思考が非合理的なのかな? まあいいや、好きにやってくれという感じ。もう、自分みたいな素人のバカがまじめに考えてもむなしいという気分になった。

わたしは、現在 COVID-19 に有効な治療法がない以上、PCR検査による感染者の特定と隔離以外ないと、単純に思っている。あと、潜在的な感染者数を大まかに把握するため、抗体検査を併用する必要もあるだろう。これがわたしというただの素人一般人の考えである。

しかし、はからずも「PCR論争」という言葉が出ているが、…何でこんなことが「論争」になるのだ? 不思議な感じがして仕方がない。こんなことが「論争」になる国が他にあるのか? 個人の感染、全体の感染者数という事実も把握しないで、対策が立てられるのか? それが科学的態度なのか?

追記。
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-hashimoto
上のリンク先記事より遥かにマトモな議論だが。何だかわからない「不思議な”神風”」(笑)。COVID-19 は何故か日本人には悪さをしない? マジかよ。ちょっと信じられんが。

まあいいや。何だかバカバカしくなってきた。頭のいい人たちがよろしくやってくれるだろう。ねっ💖🦀
 
20200430164751
ウチの大麦。何故老父が大麦を育てているのか、謎。

■イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第二番 op.27-2 で、ヴァイオリンはトーマス・ボーズ(NMLCD)。■リュック・フェラーリの「ヴィザージュ I」で、ピアノは井上郷子(NMLCD)。


坂本龍一の「Trio Tour 2011 in Europe」を視聴する。期間限定公開。「Happy End」が好きで、二回聴いた。