こともなし

曇。
夢。住宅街をうろうろ歩く。外れの方だ。電車の駅があるのか、大きな街の、線路が何十本もある広い敷地、フェンスで仕切られている。狭いところを抜けて、知らない場所ばかり歩く。ドブ川に、ガードレールや柵などがしてあって、そんなものを乗り越えながら、ふつうは歩かないところを歩く。とにかく端っこの、隅っこの方を、抜けては入り、ぐるぐると、歩いてゆく。
 
わたしほどお気楽な生活をしている者はあまりいないと思われるけれど、それでもただ存在するのが時にしんどすぎる。まじめなんだけど、でもどーでもいいやみたいに、半分テキトーに気楽に生きたいのだが。
 
 
スーパー。外気8℃で寒く、手が冷たい。雲が低く垂れ罩めている。
マックスバリュ。キムチ鍋に入れるための下足(ゲソ)を買いにいったのだが、なかった。
 
昼。
NML で音楽を聴く。■フランクのピアノ五重奏曲で、ピアノはニコラ・アンゲリッシュ、エベーヌ四重奏団(NML)。ライブ録音。パワフルな演奏だ。アンゲリッシュはブログ検索してみるとかなり前にいくつか聴いているが、あまりよい印象ではなかったようで、ピアノの音が汚いとか書いてある。まあそれはそうかも、でも、いま聴くとちがった感想もある。到達している領域が広く、いまの自分には助かるところがある。ただ中心は一般からはズレていて、マイナーな(知られていない、という意味ではない)演奏家にはちがいない、それはわたしは現時点で肯定したい。
 そうか、検索してみたら、アンゲリッシュは昨年4月に51歳の若さで亡くなっているのか。アルゲリッチのお気に入りの演奏家でもあったのね。

Hommage (7CD)

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珈琲工房ひぐち北一色店。土曜日の午後三時というのに、お客さんが少ないな。コーヒーチケットを買う。
『コレクション瀧口修造10』の続きを読む。瀧口修造を読むと、何かしらのむなしさとでもいうものを感じるようになった。これは瀧口修造を低く見るのではなく、逆に非常に高く評価する、というのは傲慢だな、とにかく瀧口修造をこの上なく立派だと思うからこそ、なのだ。わたしの存在のむなしさ、というのもあるし、瀧口ほどの優れた「才能」(などというのに、瀧口は還元されてしまいはせぬが)のむなしさ、みたいなものも少しある。でも、瀧口修造は武満さんという天才(とわたしがいうのではない、大江健三郎がいうのである)の師であり、日本で唯一の本物のシュルレアリスム詩人であったりと、むなしさなどが、入り込む余地などないのだが。愚かなものであるな、わたしなど。
 しかし、ほんと、いまの日本における瀧口修造って、なんだろう。教科書で名前が出てきて、終わりってのかな。てか、いまの時代の「芸術」って、何? 芸術は確かにいまや啓蒙され大衆化して、我々大衆の鑑賞眼もたぶんかつてより高くなっている筈だ。むずかしいことを語るのも、たやすいし、実際ネットを見れば、素人も専門家も、いっぱしの意見がいくらでも氾濫している。しかしそこに、瀧口修造レヴェルの何が、あるというのだろう。いや、たんに貧しい無知なわたしがそんなことを思うにすぎないのだろうか。もはや瀧口修造ごときは、とっくに乗り越えられ、時代遅れですらあるのだろうか。
 
ま、下らんアニメでも観るか。
 
ストライクウィッチーズ』(2008)第2話まで観る。なるほど、猫耳にしっぽにパンツ、それに魔法に戦争か。ま、しかし、茶化す気にはなれんな。ほんとこの頃のアニメ、何かの針が振り切ってる。おパンツ。
 
え、『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』(2023)、もう配信来たのか。そのうち最新作劇場版、観にいきます。
 
 
またイスラエルによるガザ爆撃が始まった。イスラエルは、ハマスのせいだと主張している。つらすぎるので、BBC動画をあまり観ないようにしている。現実逃避だが、特に子どもたちの映像がわたしにはいけない。現地での悲惨さは、わたしのつらさなどと比較できないのは、わかっているのだが。
 

 
夜。
「普通」から外れて夢を追うということ──『夢と生きる バンドマンの社会学』著者インタビュー | web岩波
この著者インタビュー、めっちゃおもしろかった。バンドマンを対象にした、「夢を追う」「夢追い」のフィールドワークか、独創的だな。そこから、著者のいう「標準的ライフコース」というものへの強力な世間的圧力の存在が可視化されてくる。わたしもそういうふつうの生き方から外れざるを得ない人生を歩んできたから、人ごとでない(もっともわたしは変人だから、そんなには悩まなかったが)。本書が図書館に入らないかな、いや、買ってもいいけれど。
 
JILPTリサーチアイ第79回「なぜWell-beingを「幸せ」と訳すのでは足りないか?」|労働政策研究・研修機構(JILPT)
これもまた、非常におもしろかった。日本人の生活の質が、世界の中で中位ですらなく、既に下位にあることが OECD の国際的調査によって明らかになったという。日本が優れていると日本人の多くが自負している「教育」や「安全」なども、せいぜい中位レヴェルに過ぎないという結果は、わたしもかなり驚かされた。「ワークライフバランス」や「市民参画」などは、世界最低レヴェルである。
 わたしがゆくりなくも連想したのは、日本人の「日本スゴイ」の大好きなことである。ネット、特に YouTube には「日本スゴイ」が溢れかえっている。かねてから、あれは不思議だと思っていたが、国際的指標がこれだけ悪いのに、気持ちとして満足しているのは、無意識のうちに事実を知っていながら、どうしようもないからみずからを欺いているのかな、といえば自虐的に過ぎようか。まあそんなことはどうでもいいが、とにかく、このリンク先記事はお勧めである。
 
ストライクウィッチーズ』第5話まで観る。