片山夏子『ふくしま原発作業員日誌』

晴。

NML で音楽を聴く。■ベートーヴェン交響曲第五番 op.67 で、指揮はジョン・エリオット・ガーディナー、オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック(NMLCD)。■イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第四番 op.27-4 で、ヴァイオリンは千住真理子NMLCD)。このヴァイオリンの冷たい線の細さが迫力を生み出している感じだな。■サルヴァトーレ・シャリーノ(1947-)の「二つの夜想曲」で、ピアノはヨーナス・アホネンNML)。

Salvatore Sciarrino: Solo

Salvatore Sciarrino: Solo

サルヴァトーレ・シャリーノの「イマジーネ・フェニチア」で、フルートはヴェラ・フィッシャー(NML)。

ラフマニノフの13の前奏曲 op.32 で、ピアノはウラディーミル・アシュケナージNMLCD)。よい。


昼からイオンモール扶桑へ。いつもはピリスの弾くモーツァルトを運転しながら聴いているのだが、今日は晩年のリヒテルの弾くイギリス組曲にする。日差しが強くなってきて、車中では AUTO で冷房が入った。
ミスタードーナツ イオンモール扶桑ショップ。エンゼルフレンチブレンドコーヒー429円。オーウェルのエッセイ集の続き。ミスドは混んでいました。もう皆んな、コロナ自粛は弛んでいるな。まあ、人のことはいえない。

帰りに江南のフラワーパークに寄って、散歩。














いい天気でした。ムクドリがたくさんいた。

『ふくしま原発作業員日誌』を読む。

夜。
図書館から借りてきた、片山夏子『ふくしま原発作業員日誌』読了。副題「イチエフの真実、9年間の記録」。原発事故を起こした福島第一原発(イチエフ)で働く作業員たちへの聞き書きをまとめたノンフィクション。少し前に読んだ『孤塁』と共に、第42回本田靖春ノンフィクション賞を受賞した。両方とも女性が書き手なのは、偶然でないような気もする。
 本書は多様な作業員たちへの、また九年間という長期にわたる聞き書きであるので、よくも悪くも内容は雑多だ。建設業界の多重下請けの慣行。国や東電幹部に現場の事実認識が薄く、大本営のテキトーに決めた無理な決定が現場を翻弄する様子。被曝線量のリミットのせいで、雇用が不安定であること。危険で過酷な仕事のため、家族と気持ちに溝ができて家庭がともすれば壊れること。現場労働者の少なからずが、「誰かがやらねばならない仕事」であり、また「稼げる仕事」であるため、積極的に仕事を引き受けていく様子。そういう人たちの「使い捨て」。その他、その他。まさに、日本というシステムと日本人を、限界点で明らかにする素材が豊富に転がっている。
 一方で、すぐに何かわかりやすい教訓が得られるというものでもない。むしろ、そういう「安易さ」を、拒否するような本でもあるかも知れない。確かに、国や東電幹部はひどい、現場労働者は概して立派だ――そんな風にまとめてみたくもなるが、それはあまりよい読み方ではないようにも思える。わたしは本書を読んで何かもやもやしているが、それをそのまま抱えておいたほうがよいのだろう、と。

まとめてはいかんと言った舌の根も乾かぬうちになんだが、日本人は無名の個々人は概して立派である。しかし、えらい人、上に立つ人はどうもダメだとは、つい思ってしまう。これは昭和の戦争でもそうであったが、いまもまったく変わっていないようである。さて、これをどう考えるべきなのか。わたしにはまるでわからない。