束縛のある最大・最小値(ラグランジュの未定乗数法など)

年末のためか、おつむのあまりよろしくないわたくしのために mathnb さんが易問を出して下さいましたので、チャレンジしてみることと致しましょう。京都大学の入試問題だそうです。問題は、束縛
  
があるとき、
  
の最大値と最小値を求めよというものです。解き方も指定してあって、ラグランジュの未定乗数法を使うやり方と、高校数学でのやり方との二通りで解けということですね。


まずはラグランジュの未定乗数法を使ってみましょう。これは物理でも解析力学その他でよく出てくる手法なので、自分も知っておりました。手法としては高校生でもむずかしくありませんが、未定乗数法そのものの正当化が高校数学では無理なので、使うなら検算くらいにしておきなさいとされます。まず、乗数λを使って
  
とおきます。ここで
  
  
  
が成立しますから、最初の2式を辺辺引くと
  
すなわち場合分けが必要になります。
(1) x = y の場合。
  
つまり複号同順で
  
ですから、
  
  
が最大値と最小値の候補になります。
(2) x + y = -λ の場合。
まず、これを2乗して直ちに
  
を得ます。上の最初の2式を辺辺足すと
  
ですから、これから x + y, xy を消去して整理、因数分解すると
  
  
ゆえに f(x, y) = F(λ) として
  
が最大値と最小値の候補になります。
以上より、求めるべき最大値は 3, 最小値は - 6√2 - 8 が得られます。


では、高校数学っぽくやってみましょう。
  
ですから、x + y = a, xy = b とおくと、
  
ここで解と係数の関係より x, y は t についての方程式
  
の2解ですから、判別式を D とすると
  
すなわち a の範囲は - 2√2≦ a ≦2√2 となります。この範囲で
  
の最大値と最小値を求めればよいので、これを a で微分すると
  
ですから、G(- 2√2), G(-1), G(5/3), G(2√2) が最大値と最小値の候補になります。結局、答えはもちろんラグランジュの未定乗数法でやった場合と等しくなります。なお、上の関数 F とは F(x) = G(-x) の関係があります。


mathnb さんはさらにこれに絡めた双対曲線の問題も提出しています。そちらの方がむずかしいですかね、いずれにせよ、息切れしました。それらは機会があったらまた挑戦してみましょう。