城崎家族旅行(第一日)

 両親が古希ということで、妹一家が旅行を企画してくれた。名古屋駅の新幹線ホームで朝八時に待ち合わせ。両親と僕、妹一家は妹に義弟、後は孫たち(僕から云えば甥たち)で、大阪城と城崎へ行こうという計画である。一〇時前に大阪駅に着くと、地下鉄谷町線谷町四丁目駅で下車。外はカンカン照りで、たまらないほど暑い。大阪府警察本部とNHKの巨大なビルに呆れつつ、大手門へ歩く。それにしても、円安のせいであろう、外国人観光客の多いことと云ったら。特に中国語はひっきりなしに聞こえてくる(外見ではまったく日本人と区別はつかないが、サングラスを好んだり、携帯の自撮り用の変な棒をもっているから、わかる)。西洋人も多いが、韓国語は一時期ほど聞こえてこないようだ。東南アジア系も多い。どうも、半分くらいは外国人ではないかというくらいの印象である。
 大阪城天守閣はでっかいのだが、コンクリート製で、それは子供の頃の記憶と同じだ。冷房も利いていて、エレベーターで登れる。それはともかく、最上層からの眺めは素晴らしい。大阪はもちろん大都会だが、上から見ても東京とはちがっていて、僕には好ましかった。
 天守裏の、秀頼・淀君自害の地の碑を見たりしながら、環状線へ。途中ポカリスエットを買って飲んだが、体に沁みこむ。気をつけないと熱中症になるよ。大阪駅近くで、お昼は回転寿司にする。
 大阪から特急こうのとり13号で城崎へ。三時間はあるので、文庫本で吉田修一の『悪人』を読む。救われない話だなあと思いつつ、疲れて寝たり。車窓は青々とした田園風景で、素晴らしい。ウチの近くではもうこういう風景は少なくなった。
 城崎温泉は二〇年あまり前に家族で訪れている。家族で行くのにいい、感じのよい温泉街であったが、どうなっているか気になっていた。行ってみたら今風の新しい店が増えていて、通りを浴衣姿で歩いている人も多く、ちょっと驚かされた。現代に適応したのだな。
 旅館は老舗の「ゆとうや」。食事後、皆で浴衣姿で「外湯めぐり」をする。これがこの温泉街の売りなのだ。ちょうど灯篭流しをやったり花火が上がったりと、月曜日なのにイベントがあって、ものすごい人出だったのにはビックリ。城崎は一時期は寂れていたそうなので、頑張ったわけである。甥っ子たちは射的をやったり、スマートボールすくいをやったりして楽しんでいた。
 皆を待ってぼーっと座っているとき、奇妙な感覚に襲われた。生まれてから死ぬまでの、時間の流れのようなものを感じる。一種のテーマパークとして再生した温泉街の中で、この時代この時点にぽつんと存在している不思議。まあ、こういう感覚は、僕にはよくあるのだが。
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