宇田川武久『鉄炮伝来』

晴。
宇田川武久『鉄炮伝来』読了。学校では、鉄砲は一五四三年に、種子島に漂着したポルトガル人によって伝えられたと習うが、どうも事実はそうでないらしい。これは『鉄炮記』の記述によるが、この資料の信憑性に疑問があることや、残された鉄砲の実物により、じつはそれ以前に、倭寇の手によって東南アジアから齎されたというのが、本書に拠れば正しいらしい。もとより自分などの判断できることではないが、本書の詳細な検証は、どうも信用できそうに思える。本書の記述はそれに留まらず、日本各地への普及の実像や、秀吉の朝鮮侵略における鉄砲、また日本鉄炮研究小史にまで及ぶ。自分には、信長による鉄砲の採用の事実などが面白かった。優れた実証研究と云えるのではないか。

鉄炮伝来――兵器が語る近世の誕生 (講談社学術文庫)

鉄炮伝来――兵器が語る近世の誕生 (講談社学術文庫)


空疎感。出処はだいたい、わかっている。何とかするつもり。