小林禎作『雪の結晶はなぜ六角形なのか』/佐藤友哉『エナメルを塗った魂の比重』

2013年春_19日曜日。晴。
分蜂を見ました。大量の蜜蜂が渦を巻いて飛んでいるので、何かと思った。しばらくすると、樹の幹に半球形にびっしりと集合しました。蜜蜂を捕まえる人は、ここで捉えるらしい。そのうちどこかへ飛んでいくという話だが。

小林禎作『雪の結晶はなぜ六角形なのか』読了。雪の研究で世界的に名高いのは、「雪は天から送られた手紙である」という有名な言葉を遺した中谷宇吉郎であるが、本書の著者はその弟子筋に当たる研究者である。本書は著者の雪に関する業績を、自身によって纏めたもので、相当に歯応えのある本になっている。これでも、一般向けにリライトされたものだそうだが。正直云うと自分もあんまり面倒なところは斜め読みしたが、それでもとても面白かった。物理の研究といっても、本書のようなのは、物理の教科書を読んですぐ出来るようなものではない。学問というのは奥が深いのだなと思わせられる。でも、だいたい、収録されている様々な写真・図版を見ているだけでも楽しい。感動的な本なのではなかろうか。

雪の結晶はなぜ六角形なのか (ちくま学芸文庫)

雪の結晶はなぜ六角形なのか (ちくま学芸文庫)

佐藤友哉エナメルを塗った魂の比重』読了。途中までは傑作かと思ったのだが、ラストの展開には苦笑。政治家? 背後の黒幕? まだそんなこと背景にしてんの? 予言者とかやめて欲しいし。でもまあ、幼稚で恥ずかしい想像力を集積して、ここまでの強度を創り出したのだから、それは大したものだとは思う。ところで、佐藤友哉ってちょっと前の人だと思うのだが、今の若い子らは読んでいるのかな。舞城王太郎もそうだが、死と暴力(スプラッタ)がこれでもかと出てきて、麻痺するんだけど、こういうのって感動するの? それとも不感症になってるの? 佐藤友哉好きな人には、御免なさい。
 しかし、死っていうのはたぶんこんなのじゃなくて、自分の体に埋め込まれているものなのだけどね。まだ若いと、外側でしか死が捉えられない。
エナメルを塗った魂の比重<鏡稜子ときせかえ密室> (講談社文庫)

エナメルを塗った魂の比重<鏡稜子ときせかえ密室> (講談社文庫)


妹一家帰る。爺婆のことわざ(?)に、「孫は来てよし帰ってよし」というのがあるそうだが、本当にウチの爺婆、お疲れ様でした。おじさんもふぅという感じ。