フランク・ロイド・ライト『自然の家』/ワイルド『アーサー卿の犯罪』

曇のち晴。
フランク・ロイド・ライト『自然の家』読了。好著。収録してあるライトの建築の写真を見ると、実に(ごく通俗的な意味で)お洒落で、現代の日本のメーカーの住宅の基本線はここにあるかと思うほどだ。しかし、ライトの外見は模倣しても、「自然らしく」(というのは多義的だが)という「哲学」は、まったく等閑にされているように見える。国籍不明の建築が、あちこち建っているだけである。

自然の家 (ちくま学芸文庫)

自然の家 (ちくま学芸文庫)

オスカー・ワイルド『アーサー卿の犯罪』読了。短編集。誇り高きイギリス貴族の亡霊が、即物的アメリカ人一家に毎晩毎晩、逆に愚弄され、憤激のあまりに弱っていってしまう「カンタヴィルの幽霊」など、思わず笑ってしまう。なかなか凝った短篇が並んでいて、魅力的だ。
アーサー卿の犯罪 (1977年) (中公文庫)

アーサー卿の犯罪 (1977年) (中公文庫)