ギュンター・グラス『蟹の横歩き』

晴。

NML で音楽を聴く。■バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第三番 BWV1005 で、ヴァイオリンはヤッコ・クーシスト(NMLCD)。■ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第九番 op.14-1 で、ピアノはスティーヴン・コヴァセヴィチ(NMLCD)。

午前中、甥っ子の勉強を見る。

暑い。
夕方、イオンモール。夏休みになって駐車場が混んでいる。フードコートの席は何とか空いていたけれど。
ミスタードーナツフレンチクルーラーブレンドコーヒー378円。図書館から借りてきた、ギュンター・グラス『蟹の横歩き』読了。池内紀訳。これまでに何度か書いたが、なかなか複雑厄介な小説だった。ヴィルヘルム・グストロフ号自体は、本書の真ん中のあたりで沈んでしまうので、その後は語り手の物語になる。なるほど、グラスはこういう終わりにしたのか。こうなると、グラスの意図は「ヴィルヘルム・グストロフ号事件」というよりは、戦後の物語の方にあるのだろうか。いや、簡単にそうともいえないし、わたしにはわからないところである。いずれにせよ、伏線は回収しないといけないしなあ。訳者解説によると、本書は驚くべきことにドイツではベストセラーになったそうで、これが日本だったらさすがにそれはないだろうと思われるから、それだけ老グラスの新作をドイツ人は待っていたのか、すごいですね。
 僕はグラスは『ブリキの太鼓』(これも池内紀訳)しか読んだことがないのだが、これがグラスの処女作なのだそうで、知らなかったなあ。これもしたたかな小説で、若くしてこれが書けるというのはやはり驚きである(驚いてばかりですが)。グラスの他の作品もできれば読んでみたい。それから、若い時に武装SS に所属していたことを老いてからカミングアウトしたのは、もし自分なら可能かと考えると、やはりなかなかできることではないと思う。

なお蛇足ながら、「蟹の横歩き」というのは、一直線に「真実」へ向かって歩んでいくのではなく、蟹が「横歩き」するように、ジグザグに少しづつ、対象へにじり寄っていくということが含意されているのだろう。

Yahoo!ブログがサービスを終了するのだな。はてなもだいぶサービスを終わらせているとおり、Web サービスはいつまでもあるものとは到底いえない。たんなる電子データだから、消えるときは簡単に消えてしまう。その意味で、まだまだ書物というものは残るかもしれない。いや、書物も電子データも消えて、そうしたものは何もなくなるのかも。まあそれならそれで、いっそさっぱりしているのではないか。

そういうことが気になる人は、自分でサーバを調達して発信すれば多少は対策になるが。だから、まだ RubytDiary とか使っている人が一定数いるものね。

ああ、はてなダイアリーからはてなブログへの自動インポートが完了したのだな。意外と早かったな。
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