こともなし

日曜日。曇。

NML で音楽を聴く。■バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第一番 BWV1002 で、ヴァイオリンはヤッコ・クーシスト(NMLCD)。■モーツァルト弦楽四重奏曲第十五番 K.421 で、演奏はモザイク・クァルテット(NMLCD)。


晴。車外は36℃。
珈琲工房ひぐち北一色店。ギュンター・グラスの続き。前にも書いたとおり厄介な主題なので、グラスはわざわざ複雑な体裁で本書を書いている。歴史的な事実(といっても詳細がわかるのは一部だけなのである)と語り手の物語を様々に織り重ねて、なかなか話が進んでいかない。語り手の物語も、「ヴィルヘルム・グストロフ号事件」と直接絡めながら、現代のインターネットにおけるネオナチや反ユダヤ主義の問題と接続させている。政治的な問題を小説で扱うのはもちろんたいへんにむずかしいことだが、グラスというのはまったく一筋縄ではいかない小説家だ。本書は池内紀さんの例の何でもつるつる流れていく散文で訳されてはいるが、それでも読むのは簡単でない。


ジャングルになっているウチの庭。夏である。
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夕方、老父を手伝って少し畑仕事をする。台風でいろいろ倒れたり何やらしたので。


池内紀さんの中公新書新刊『ヒトラーの時代』はそのうち買おうと思っていたが、ドイツ史の専門家たちに徹底的なダメ出しをされている。
togetter.com素人なので断言はできないけれど、これは歴史書として致命的っぽい。何よりこの三十年ほどの文献がまったく参照されていないらしい。初歩的な事実誤認もたくさん指摘されている。ここでも書かれているが、「信頼の中公新書」ブランドなのがつらい…。池内先生、このところファクトがおろそかになっているという指摘がちらほらあったのを知っているが、もう八十歳近くにもなって中公新書を書くのはお止めになっていた方がよかったのか。ドイツ史の専門家が、これを自分がやったら一発で信用を失うと言うのはきびしい。

それにしても、コメント欄で聞いた風のことを言っている奴らは何なのだ。専門家の批判の尻馬に乗って喜んで叩いているだけの人間が相当に多いのではないか。まあいつものことだけれども。