晴。
ぼーっとしておりました。またやり直し。
図書館から借りてきた、町田康『ゴランノスポン』読了。浅田彰さんが「小汚い、白痴的な」と形容される奈良美智氏の表紙なので、何となく嫌な予感がしていたのだが、それが当ったのかどうか。これはこちらが悪いのかも知れないが、この短篇集では殆ど笑えなかった。まあ、こちらとて町田康に気軽な漫才を求めているわけではないので、それはいいのだけれど、意外でした。いつものふざけた調子はまったく変わらないが、非常にブラックな感じ。表題作など不気味の極みで、これはシリアスな傑作だと云わざるを得ない。いまどきのさわやか君の内面ゼロな様子を、悪意すら感じられる描写で記述していく。そしてこれまでの町田康ならおちゃらけて終わらせたところを、阿鼻叫喚、まあそれはふざけていないわけではないが、まったく救いなしに終わらせている。「一般の魔力」も、これも一切笑えない。我々普通人のイライラした、自分勝手な日常を誇張して描写し、最後は勧善懲悪で夫婦の娘が惨殺されていることを暗示させて救いがない。また、源氏物語のパロディである「末摘花」は、パロディとして明らかに秀逸であり(特に高校の古典の教科書の訳文をバカバカしく真似たような語り口はすごい芸だと思う)、これはかなり笑えるが、光源氏と思しい語り手はどうも疲れた感じで、これも最後は救われない。
という感じで自分は受け取ったのだが、これはおかしい読みなのであろうか。町田康はここでは全体的に陰惨な感じを狙っているのかと思う。あるいは、すべてが計算ずくで書かれたわけではないのかも知れないが。町田康が時代精神を描き出そうとするようになったというのは、自分にはそれをどう受け止めてよいか今ひとつわからない。町田康までが、「現代の空虚」みたいなものを書かないでもよい気もするけれど、それを狙ったのなら、これぞ「純文学」と云うべき、見事な出来だとは思う。でも繰り返すけれど、いまのこちらがおかしいので、町田康は何にも変っていないという可能性もあります。ちょっと客観的に判断できない。
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宮崎駿『風の谷のナウシカ 5』『6』『7』読了。全巻完結。本当に読んでよかった。小説とも映画ともちがう、マンガの力というものを存分に感じさせてくれる傑作だった。終わり方にも満足。自分の筆力ではこのマンガの傑作たるところを表現できないのが残念である。映画版より遙かに深い作品になっているので、読まれていない方には是非お勧めしたい。
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ネットをうろついてわかったのだが、宮崎駿はいわゆる「知識人」の憎悪を受けやすい人ですね。ある程度名の知られた人で、宮崎駿を口汚く「批判」(では実際ないのですが)している人が少なくない。よくこうした中で、アニメを作り続けて来られたものだと思う。僕は「もののけ姫」以降の宮崎アニメを見ていないのだが、そのうち見ないといけないな。