武満徹「ジェモー」他を聴く/ロジェ・グルニエ『黒いピエロ』

晴。
音楽を聴くのが楽しい。■シューマン交響曲第三番(スダーン)。マーラー版による演奏。スダーンの指揮は、特別奇を衒ったりするようなところは微塵もなく、楽譜を素直に音にした(というようなことは実際はあり得ないのだが)という感じで、とても好ましい。それから、東京交響楽団が好演。東京交響楽団も、世界の二流レヴェルまでのし上がってきた。弦がちょっと暗い感じだが、録音で繰り返し聴けるレヴェルに充分ある。■武満徹:ジェモー、夢窓、精霊の庭(若杉弘都響)。武満のオーケストラ曲三曲。自分はまだ武満徹のオーケストラ曲を分析的に聴けないので、どうもどれを聴いても似たような印象を受けてしまう。それにしても、どの曲もとても美しい。そして、まったくオリジナルな精神だ。どこからこうした音楽が来たのかと思う。トリップするような感覚…というのは適切ではないかも知れないが、なかなかうまく云えない。そして、ことさら日本を意識してはいないのに、日本というものも色濃くある。これこそ真の意味での、マイナー音楽と云えるだろう。

武満徹:ジェモー

武満徹:ジェモー


図書館。ツェランの全訳詩集がないかと探したのだが、検索してもなかった。うーん。ATM。カルコス。本の並びが変った。自分の好きな文庫の棚が圧縮されていて、残念というか無念(?)というか。岡崎武志さんの文庫新刊も見つからない。売れているのかな。JTB。色々行きました。
ネットをぶらついているとき、うっかりして麦茶をキーボードにぶっかけた。PC壊れていないだろうな…

図書館から借りてきた、ロジェ・グルニエ『黒いピエロ』読了。山田稔の翻訳ということで読んでみたが、ロジェ・グルニエ、なかなかいいではないか。フランスの地方の小さな町の、狭い人間関係が、子供の頃から大人になり、人生の盛りを越える頃まで描かれる。幼馴染だった子供たちが、恋人同士になったり別れたり、結婚したり家庭が破綻したり、それが組み合わせを試すかのように、錯綜して過ぎてゆく。背景は、第二次世界大戦であり、主人公はパルチザンであったりするのだが、この小説では、それはまさに背景でしかない。子供の頃夢見た世界は、それが手に入ってしまえばそこまで、結局人生は時が過ぎてゆくのに過ぎないのか。個人的なことを云えば、自分にはあまり過去を反芻する癖はないが、本書の著者や、訳者の山田稔などのように、回顧を淡々と文学にしてしまうのを読むのはおもしろい。どういうものだろうか。ロジェ・グルニエ、もう少し読んでみよう。
黒いピエロ (lettres)

黒いピエロ (lettres)