名古屋駅前のミッドランドスクエア・シネマで、映画「アレクサンドリア」(原題「アゴラ」)を観る。監督アレハンドロ・アメナーバル。五世紀アレクサンドリアの女性哲学者・科学者ヒュパティア(Wikipedia)の物語。彼女の業績はまったく現代に伝わっていないが、その講義は有名であり、最後はその「リベラルな」態度が元で、キリスト教徒に惨殺されたという。映画では彼女は地動説を唱え、なんと惑星の軌道が楕円をなすことを発見したことになっていた。映画は彼女が最後は死ぬことがわかっていたので、ちょっとつらかったのは確か。なんだかキリスト教徒が野蛮なように描いてあった。それから、アレクサンドリア図書館も出てくるが、本というのは巻き物で、ああ当時はパピルスだったのだなと思い至った。
マンガ好きは、岡野玲子『陰陽師』の第十二巻を参照されたい。でもこのエピソード、『陰陽師』の本筋とどういう関係があるのだろう…
この映画、岐阜ではどこも上映しないのだよね。久しぶりに名古屋へ行った。映画のあと、駅前のジュンク堂で専門書を物色。一時間ぐらい居たかな。岩波文庫のリクエスト復刊や、J・J・サクライ『上級量子力学』高瀬正仁『dxとdyの解析学』などを買う。もっといろいろ欲しかったのだが、まあいい加減にしておかないとね。
帰りに、JR岐阜駅ビル内にある三省堂書店岐阜店に寄る。ちくま学芸文庫の新刊購入。駅前の黄金の信長像を初めて実見。
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柳田国男『野草雑記・野鳥雑記』読了。「野草」の方も「野鳥」の方も面白いが、「野鳥」の観察力の鋭さには、やはり敬服させられる。とりわけ雀の鳴き声の観察といったらない。
…先ず誰でも知っていると思うのは、遠い処から何かあぶないことがあって遁げて来る場合、これは一語ずつ引離して、かなりはっきりと発音するので、いかにも我々の「やれうれしや」に似た感じを与える。次には婚約がいよいよ成って、これから巣に就こうする際の悦びの声、こちらは細く美しくかつ連続して、これくらい顕著に幸福の感を表示するものはない。それからまた警戒の声でも、猫が木の下へ来た場合と子供などの近よる時とは、慣れてしまえば素人にでも差別がよくわかる。… (p.294)
まだまだ続くのであるが、こういった感じである。果してこれらが正しいのかどうか知らないが、野鳥を愛して見聞きしている様子がよくわかるではないか。
- 作者: 柳田国男
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/01/15
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田中秀臣氏の谷沢永一追悼文がすばらしい(参照)。谷沢氏への追悼文はネットでも既にちらほら見かけるし、各種メディアでもこれから続々現れるであろうが、経済学の方から谷沢氏を照射するという試みは他にほとんどあり得ないだろうし、またこれほど高水準になることもないだろう。この追悼文を読んで、谷沢の凄さを改めて突きつけられた思いである。自分のような一知半解の素人がこんなことを云っても仕方がないのだが、田中氏への感謝の念が抑えがたいので、ここに記しておこうと思う。