マッケン『白魔』/増田義郎『黄金の世界史』

日曜日。晴。
久しぶりにカルコス。10冊。やはり、ポプラ社の「百年文庫」は置いてない。「新潮」1月号の、坂本龍一大竹伸朗の対談を立ち読み。篠山紀信などもそうだが、こういう人たちを超える若い才能が出てきていないなあ。
夜、NHKで「坂の上の雲」。子規死す。恥ずかしながら、毎週泣けてしまうな。

マッケン『白魔』読了。短編集。マッケンは初めて読む。うまく言いがたいけれども、曖昧模糊とした、とても変った小説だ。面白かったか否かもよくわからないが、感覚が変(?)だというか、この奇妙さそのものが印象的だったくらいである。ジャンルとしては幻想小説怪奇小説といったところか。しかし、イメージのくっきりとした幻想ではなくて、ぼやーっと仄めかすような類のものである。変ったのが好きな人は、どうぞ。

白魔 (光文社古典新訳文庫)

白魔 (光文社古典新訳文庫)

増田義郎『黄金の世界史』読了。文明の繁栄と金銀の間には、やはり関係があるのだろうか。これは難問だが、本書はその問いに対し、イエスと答えているようである。確かに金銀の流通は、経済における「血液」の循環の役割を果すことは間違いない。しかし、単に金銀を手に入れ、退蔵しているだけでは、繁栄は齎されないようである。また、大航海時代、新大陸から膨大な金銀を得たスペイン、ポルトガルが、それによって特別繁栄しなかったという事実もある。この金銀は、負債を支払うため、イタリアなどの商人の手に直行してしまっていたのだった。それこれはともかく、金銀の採掘、移動、流通に関する事実は、いまだに明らかになっていない部分が多いようだ。
黄金の世界史 (講談社学術文庫)

黄金の世界史 (講談社学術文庫)