ジョン・ロック『統治二論』

晴。時雨。
ジョン・ロック『統治二論』読了。古典中の古典の新訳文庫版。加藤節の訳文は読みやすい。

完訳 統治二論 (岩波文庫)

完訳 統治二論 (岩波文庫)


プルーストの『失われた時を求めて』の邦訳がありすぎる(参照)。完訳で四種類(刊行中も含めて)、それも、全部文庫で入手可能なのだから。ちくま文庫井上究一郎訳、集英社文庫の鈴木道彦訳、古典新訳文庫の高遠弘美訳(刊行中)、岩波文庫吉川一義訳(刊行中)、というわけだ。自分は最初の井上訳で通読し、感銘を受けたが、これは何か問題でもあるのか。それは確かにいろいろな版があるのはいいことなのかも知れないが、セコい話かもしれないけれども、知力の無駄ではないのか。もっと他に翻訳・新訳してほしいものが、たくさんあるのだけれど。
 それから、「読みやすい」翻訳というものが流行っているが、訳文をいじって原文から遠くして「読みやすい」というのなら、読者を馬鹿にした話だ。自分が「読みやすい」翻訳だというのは、訳文に「文体がある」くらいのつもりである。