礒崎純一『龍彦親王航海記』

曇。
 
大垣。
ミスタードーナツ大垣ショップ。タコスミート&チーズパイ+ブレンドコーヒー415円。
『龍彦親王航海記』の続きを読む。第V章まで読了、これで半分くらいか。澁澤龍彦のイメージとしては「異端」というのがもっともぴったりしていた時代があり、そのようなイメージに対して浅田さんなどは、「この程度で異端かよププッ」などと反発して、バカにしていたくらいであるが、いまから見るとその「異端」は譬えれば「岩波書店的正統」を見事に補完するものであり、双方合わせて西洋理解のまさに「正統中の正統」「本流中の本流」として、きわめて大きな貢献があったものとつくづく思われる(わたしはこのような澁澤の見方を、筒井康隆に負うところがある)。西洋を「天使と悪魔の二元論」とでもいうような観点から理解することが、日本における西洋理解の底の深さを示していると、見做すことができるのだ。
 もっとも、いまではそのような「天使と悪魔の二元論」的な西洋理解はあまり流行らなくなったのであり、それは「正統」と「異端」という対立構図が有効でなくなったことと繋がりがあるだろう。ちょっとテキトーだが、現在は「マジメと遊び」「重さと軽さ」というよりは、「マジメと下らなさ」という対立項が有効である、そんな風にもいえるかも知れない。天使にせよ悪魔にせよ、いまやあまりにマジメ、なのだ。
 
どうでもいいことだが、林達夫からもらった手紙について、澁澤がエッセイで子供のような素朴な自慢をしていることを、澁澤好きなら知っていることだろう。しかし、矢川澄子の記憶によると、林からの最初の返信は、「あなたと私の間には何の情実もない」という、にべもない拒絶だったという(p.247)。林達夫の一面として、わたしには印象深かった。
 
図書館から借りてきた、礒崎純一『龍彦親王航海記』読了。おもしろかった、最後はしんみりしてしまった。澁澤はかつてよく読んだが、ここでこれ以上敢て何か語る気はしない。澁澤論とかも、肯定も否定も、どうでもいいという感じがする。

 
 
夜。
ラブひな』(2000)第11話まで観る。作りが(最初は耐えがたく)古くさいけれど、慣れてくると中毒性があるな。古典的ハーレムラブコメらしいが(でも、しっかりなるちゃん一筋だよね、景太郎は)。とにかく設定もギャグも音楽もキャラデザも作画も古くさいので、いまの人は観られないと思う。20年以上前のアニメだもんな。しかし、何で東大志望?ってのはある。昨今の作品なら、こうも露骨に東大っていわないと思う。