アーザル・ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』

晴。
どうやら熱は下がったよう。一日ほぼ何もせず寝ていたので、頭の空白具合がすごい。夢でも、だらだらしていてこんなことではいけないけれどもだらだらから抜けられなくて意志が弱いオレだめだみたいなのを見る。いつもだって、特に何もしていないのにな。

NML で音楽を聴く。■ベートーヴェンの創作主題による三十二の変奏曲 WoO80 で、ピアノはブルーノ=レオナルド・ゲルバー(NML)。ゲルバー、NML にないなあ。CD もほとんどが品切れだ。このベートーヴェンハ短調変奏曲を聴いても、このまま忘れられてよいピアニストだとは到底思えない。DENON への録音とか、NML に入らないものだろうかなあ。

ベートーヴェンの十五の変奏曲とフーガ op.35 「エロイカ変奏曲」で、ピアノはブルーノ=レオナルド・ゲルバー(NML)。大理石の彫像を思わせる古典的な演奏。迫力だ。

「こういう時のミュージシャンには政治を語るのではなく、希望と癒しを与えてもらいたい」ってツイートが流れてきたんだけど、これさすがにひどくないか。ミュージシャン(あるいは一般人)を半分バカにしているだろ。小谷哲男って誰か知らないが、ちょっと軽蔑したくなる。


曇。昼からミスタードーナツ イオンモール扶桑ショップ。ブルーベリージャム+ブレンドコーヒー429円。
アーザル・ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』をようやく読み終えた。どれくらいかかったことか。最後も大変で、今日はコーヒーを三杯も飲んでしまった。ところどころこの日記に感想を書いているので、基本的に新しくいうことはないけれど、…でも、これほど中身の濃い本について、言い尽くすというのはムリである。「圧政」下のテヘランに関する本であるから、政治と自由についてまず書かれていることはいうまでもないが、著者が英文学を通して、イスラム教徒にして(西洋の)リベラルの価値観を深く身につけた女性教師であることからして、フェミニズム的に読まれることは避けられないだろう。著者の、密かな英文学「クラス」の女生徒たち。彼女たちにも、恋や結婚の問題は極めて重要だ。彼女たちはムスリムの(古くさい)男性たちに時には辛辣であり、時には絶望しているが、それでも彼女たちだって男性のことは気になる。圧政下でもカップルは生まれるのだ。でも、正直言って、古くさい人間であるわたしは、彼女たちの辛辣さが我が身に刺さる。たぶん、わたしが結婚しなかったのは、よかったことなのではないかという気持ちが拭えない。まあそれはわたしにはなかった人生なので、何ともわからないのだが。
 祖国、というものについても、本書を読むと考えさせられる。オーウェルに、「右にせよ左にせよ、我が祖国」というエッセイがあるが、そういう意味(country としての*1)での「祖国」といっていいのかも知れない。ちょうど、いまウクライナで戦争が起きているが、それとも響き合ってくる。例えば、本書では、このひどい状態のイランから、逃げてよいのか、という問題が何度も出てくる。まともな人間がまともでない祖国から逃げ出すことは、その国のためにはならないのではないか、と。これはわたしなどには到底回答不能な問題だ。著者は最終的に、アメリカへ「脱出」する。そのために、彼女がいかに苦しんだことか。「クラス」の生徒たちも、彼女の「脱出」にそれぞれの仕方でショックを受ける。そういうことに対し、わたしにいう言葉がないのを感じる。
 あと、「単純さ」について。わたしはかねてから無知は「悪」であると思っていたところがあるが、しかし次第にそれよりもむしろ、単純さこそが「悪」ではないかという感じがするようになった。本書はその実感を裏付けてくれる。無知は、どれほど知識を積み重ねても、最終的にそこから脱出することはできない。それどころか、知識を積み重ねた人間が単純のーたりんであることはよくあり、そして単純さそのものによってふつうの人間に害を与えることがよくある、そんなことを思う。世界は複雑なものだ。例えば、やたらと正義を主張して(その意見そのものにあるいは賛成できなくはなくても)クソ単純な人間は、そのうちはた迷惑なことをし出しても、わたしは驚かない。

 
帰りにカルコスに寄る。二冊購入。岩波現代文庫の『戦争は女の顔をしていない』は前から読もうと思っていたので、ようやく買った。ウクライナで兵士に志願する女性が増えているという報道に、接したこともあって。バーリンの『マキアヴェッリの独創性』は岩波文庫バーリン大好き。それ以外にもっと軽めの本も買おうと思っていたのだが、果たせなかった。若い人たちが読みそうな新書本も、かつてなら買っていたと思うが、いまでは気が滅入るばかりである。その意味で、加齢による不寛容を感じるな。

なんかクソマジメ病にかかっているようなので、アニメでも観るか。

夜。
けいおん!』第5話まで観る。ようやく気づいたが、この学校、もしかして女子校? 男がまったく出てこないアニメだな笑。百合…。
そうそう、OP も ED もなかなかいいね。

*1:つまり、nation でも state でもない、ということ。