アルムート・レスラー『メシアン 創造のクレド』/東浩紀編『ゲンロン2』

晴。
まつもとさんに雇ってもらう夢を見る。独学素人初心者プログラマだというのに、僕の無意識は何を考えているのだ?
音楽を聴く。■バッハ:管弦楽組曲第四番 BWV1069(ミュンヒンガー、参照)。管弦楽組曲の中でこの曲だけ、なぜか自分にはなじみが薄いのだよなあ。どうしてだろう。■ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第一番 op.1 (ツィマーマン、小澤征爾参照)。これはおもしろい。第二番の演奏よりおもしろいくらい。ラフマニノフのピアノ協奏曲の中で第一番はことさら演奏されないが、作曲家が「作品1」にした気持ちはわかる。意欲的で盛りだくさんの曲だと思う。
図書館から借りてきた、アルムート・レスラー『メシアン 創造のクレド』読了。どう書こうか迷ったが、メモだけ。メシアンにおいてカトリック信仰はその作曲のほぼすべてであるが、それはどういうことなのか。また、日本人には、メシアンがあまりにも日本びいきであるように思える。それも、どういうことなのか(社交辞令とは到底思われないし、また日本をよく知らない外国人の勘違いと断定するわけにもいかない)。メシアンはあまりにも複雑巨大であり、また教師としても弟子のリストがすごすぎる。またその「共感覚」。自分にも多少の共感覚はあるが、メシアンの説明を読んでいると殆ど信じがたいほど複雑なことになっている。メシアンを聴くのはいつもシンドイが、本書もまたシンドかった。

メシアン 創造のクレド

メシアン 創造のクレド


昨日感想を書いたショッピングモール本に、ショッピングモールにはホームレスも入れてその多様性が楽しいみたいなことが書いてあったが、幸せな家族連れがショッピングモールでホームレスを見物して喜んでいる図はどうなんだろう。それが現実なのだろうが、自分にはあまり愉快でないのだけれど。
県図書館。
昨晩寝る前に中沢さんの『日本の大転換』を読み直し始めたのだが、薄い本なのに、冒頭から考えるべきことが多すぎて、少ししか読めなかった。ひとつは、社会と市場は別もので、いまや世界化した市場が社会を壊し始めているということ。もうひとつは、一神教に立脚する文明はもうムリで、仏教に立脚する文明を構築せねばならないということ。いずれも非常に微妙な話なので、このブログ記事を読んで早とちりしないで頂きたい。そもそも中沢さんはこういう(一刀両断的な)ことはまず言わない人なので、よほどの決断だったのだろうと思う。「社会」と「市場」はちがうと。いまや社会学と経済学は一体化しつつあるが、それを真っ向から否定する言説である。また、一神教ユダヤ、キリスト、イスラム教)文明は世界の七割以上(というのはテキトーだが)を占めるであろう、世界の大多数である。それを否定するとは。こんなの、早とちりされてバッシングされるに決っているではないか。
でも、正直言って自分もそんなようなことを思っていた。これは、自分には考えるしかないことである。
 中沢さんが仰るとおり、一神教は「媒介」を必要としない宗教である。「外部」にある神に、直接接続していこうとする。その超越性が、いまや非常に厄介なことになっている。戦争をしても、一神教はその正当性を究極的には神に担保させてしまう。原発の思想的(あるいは「神学的」)基盤については、中沢さんの著書に直接当たって頂きたい。

東浩紀編『ゲンロン2』読了。いつ頃からか東浩紀さんの活動をフォローしなくなっていたので、創刊号の出版は知らなかった。この第2号であるが、なかなかおもしろかった。中沢新一へのインタビューは自分には別格なのでここでは書かないが、全体的にいまだにこんなことをやっている人たちがいるのかという印象で、感心しないこともなかった。若い人は読んでみるといいと思う。創刊号も読んでみようと思っている。
ゲンロン2 慰霊の空間

ゲンロン2 慰霊の空間

どうでもいいことだけれど、東氏と千葉氏の対談に出てくるグレアム・ハーマンの「オブジェクト指向存在論」ですが、プログラミングをやっている人ならすぐに「オブジェクト指向プログラミング」を連想すると思う。けれどもここにはそれらしい言及は一切ないので、東氏も千葉氏もプログラミングの初歩すらまったく知らないのだなとわかった。もちろん僕が云うのは東氏と千葉氏のことで、ハーマンの術語がプログラミングから換骨奪胎されたものかどうかは知るところではない。ってどうでもいいですね。

『心は孤独な狩人』って市の図書館にも県の図書館にもないのだな。アマゾンのマーケットプレイスで 1万円近い値がついているのだが…。これが復刊されないのは謎という外ない。もしかしたら、村上春樹の翻訳で出るのか…。一時期、「アレクサンドリア四重奏」が入手できなかったのも謎だったが、あれは同じ訳者の改訳が出たのだった。あと、ちょっとちがうけれど、「ティマイオス」が岩波文庫に入らない謎。これは仕方がないので、図書館で全集本から抜き出してきて読んだ。