上野千鶴子『生き延びるための思想 新版』

日曜日。雨。
朝九時にイオンへ行く。すごい人出。今では、ソフトでない「身欠きにしん」ってないのかね。買い物とレジで、一時間くらいかかる。
昼からカルコス。

上野千鶴子『生き延びるための思想 新版』読了。最後は感動した。著者の学問は、まず(モヤモヤとした)実感から始まる。結論は最初にあり、そのために論理が苦心惨憺、探される。これは学問ではないのか? いや、こういう学問もあるし、これこそが人に勇気を与える学問なのだ。だから、著者を「思想家」と言ってもいいのだが、たぶん、著者の方で御免こうむるだろう。
 意外に思われる向きもあるかも知れないが、著者の土台には、平凡な、時としてだらしなくもある「日常」の生活を、徹底して肯定する感覚がある。そうでなければ、国家の暴力に反対する思想はやさしいけれど、革命のための暴力まで、それは暴力に過ぎないと、否定し切るのはむずかしいだろう。それは、著者の直感であり、賭けである。弱者の暴力は、結局強者の暴力にやられる。それよりも、弱者は逃げよ、生き延びよと、著者は言う。命以上の価値を持つものなどないと。もちろんこれは、簡単に却下してしまえる思想ではある。しかし、徹底したひとつの立場にはちがいない。我々としても、ひとつの立場は根拠なしに持つしかない。著者はそれを、ラディカルに推し進めていく。それこそが著者の学問のような気がする。

生き延びるための思想 新版 (岩波現代文庫)

生き延びるための思想 新版 (岩波現代文庫)