晴。
NML で音楽を聴く。■バッハのブランデンブルク協奏曲第二番 BWV1047 で、指揮はモーゲンス・ヴェルディケ、デンマーク室内管弦楽団(NML、MP3 DL)。■ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第九番 op.59-3 で、演奏はミロ・クァルテット(NML、CD)。よいな。いろいろ考えさせられる。■スカルラッティのソナタ K.11, K.12, K.13, K.14, K.15, K.16, K.17, K.18, K.19, K.20 で、チェンバロはスコット・ロス(NML)。
名古屋大学と岐阜大学が統合されるのか。それぞれの名前や学部は変わらないらしいが。いろいろ検索してみても特にメリットとかはよくわからない、各大学側の説明も抽象的なものなので、下衆の勘繰りをしてみれば、大学の数を減らそうという文科省の指示に従うことで、優先的に予算を廻してもらおうとでもいうことであろうか。それで岐阜大学ではユニークな試みとされていた「地域科学部」などが廃止されるとの予定で、何かそこいらも怪しげであるが、これについては当事者の激しい反発があって容易ではないとの報道がある。まあ、よくは知らない。
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■シベリウスの組曲イ長調で、演奏はトリオ・ヘーゲル(NML)。弦楽三重奏曲。
SIBELIUS & M. REGER COMPLETE STRING TRIOS
- アーティスト:Trio Hegel(ヘーゲル・トリオ)
- 出版社/メーカー: DA VINCI CLASSICS
- 発売日: 2018/07/20
- メディア: CD
珈琲工房ひぐち北一色店。綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』読了。これまでも書いてきたが、非常におもしろく、また勉強になる本だった。本書は結構図式的にざっくり説明している、構造のはっきりした本だと思うが、それでも読解するのはかなりむずかしい本でもある。わたしもきちんと読めているとはいえないし、アマゾンのレヴューも(いつものことながら)すべて上から目線のものしかなく、はっきり言ってどれも読めていないのは明らかだと思う。ただ、そうは言いつつ、本書がある意味読みやすいのは、本書が現在の状況の分析だからで、その題材は新聞にでもネットにでもいくらでも転がっているから、ふむふむなるほど感が強いのだ。
今日読んだ部分のとりとめもない感想を書いておくと、さて、「差別というものは意図的になされるのでない」(もちろんヘイトの人たちなどはちがうが)というのはちょっと虚を衝かれたのだが、「差別している人は、自分の考えを当り前のことだと思っているので、まさか悪いことをしているとは思わない」というのは、なるほどそうだ。例えば「女は男に劣っている」と公言する人は、それを当り前のことだと思っているからこそ、平然とそういうことを口にするのである。それは「内なる差別」といわれるらしい(これはわたしの無知でした)が、なるほど、それには PC (ポリティカル・コレクトネス)をぶつけるしかない。そして、そのような「内なる差別」というものは、反差別主義者でも避けることができないことが科学的研究からわかっているそうである。これも本書に出てくるが、人間というものは、強い責任を引き受けられるほどよくできた存在ではないのだ。へんな話、本書を「まともに」読解することすら、多くの人間には無理だ、それほどのリテラシーを多くに期待することはできない。とエラソーにいうわたしも、はっきり言って自信はないのである。となると、現実には無理な、啓蒙による強い個体を目指した訓練よりも、いま流行りの「統治功利主義」、それもテクノロジーの制度設計(環境管理型権力)によるそれがどうしてもクローズアップされることになるが、ではその最先端をいっている中国の現状、つまりテクノロジーによる高度な管理社会がよいのか。もうそのあたりになると、わたしには何が何だかわからない。いったい、何が正しいんだと叫びたくなるのだ。
本書の最終章は、天皇制の考察で、応用編ということになっている。これもなかなかにおもしろく、現上皇夫妻がリベラルを志向してきたのは、「リベラル・デモクラシー」というきわめて相性の悪い「(概念の)結婚」の破綻を防ぐためであるという視点が導入される。それは天皇制の存続に不可避であった。そしてその過程で、美智子皇太后の存在がきわめて大きかった(いや、決定的であった)ことが、現実には軽視されているという指摘がなされている。まあ詳しくは書かないので、実際に本書に付かれたい。
それにしても、これほど切れ味の鋭い評論(?)に出会ったのはひさしぶりだ。こういうのを見ると、やはり若い世代はすごいとも思ってしまう。わたしにはむずかしかったのも事実だが。たぶん、だいぶ誤読していると思う。それにしても、DV とか性犯罪者はビョーキだから、薬で去勢(?!)するという試みが始まっているそうだが、マジですかだよね。しかし、本書の分析から見るとそれはむしろ「正しい」ことになり得る。まったくすごい時代である、いまは。そのうち、わたしのような生産性のない人間は、薬で永遠に眠らせておくべきという未来がきても、別におかしくはないというか。統治功利主義、か。
さて、さみしいおっさんはエロサイトでも見るか。いや、それすら面倒になりつつあるな…。
図書館から借りてきた、鈴木大拙『禅の思想』読了。
- 作者:鈴木 大拙
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2001/02
- メディア: 単行本