こともなし

雨。のち曇。

NML で音楽を聴く。■ベートーヴェンの七つのバガテル op.33 で、ピアノはアリシア・デ・ラローチャNMLCD)。バガテルというのは「つまらないもの」というような意味だったと思う。先日ベートーヴェンの音楽を評して「ダサい」とあるのを見たが、この曲集などさぞかしそう言われるかも知れない。自分は時々聴きたくなるので、これもより内容が深いといわれる op.126 よりも、こちらのつまらない(筈の)op.33 の方が聴きたくなる。ベートーヴェンのバガテルのおもしろさはグールドに教えられた。ラローチャの録音はこの曲の自分のイメージにぴったり。この「つまらなさ」がいい。■ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第九番 op.47 で、ヴァイオリンは庄司紗矢香、ピアノはジャンルカ・カシオーリ(NMLCD)。いわゆる「クロイツェル・ソナタ」。すばらしい。この曲はカシオーリのピアノにはちょっと荷が重いけれども。


Tumblr から成人向けコンテンツが追放されるらしいな。いま進んでいるインターネットのサニタイズの一環であろう。Tumblr は下らない場所で僕は好きだったのだが、まあそういう場所はこれからもどんどんなくなっていくのであろうな。インターネットがますます「現実」そのものとなっていく現在、それはそういうものであろうと思う。それに、正直言って Tumblr は野放しといえば野放しだったからね。僕はバカなので、ああいうものだと思えば、あれが悪いとは大して思えないのだけれど。問題ですかねえ。

ブラームス交響曲第三番 op.90 で、指揮はセルジュ・チェリビダッケシュトゥットガルト放送交響楽団NML)。僕は残念ながらチェリビダッケ教徒ではないのだが、これを聴いていると信徒になってもいいと思うような。チェリビダッケというのはどこを切っても金太郎飴のようにチェリビダッケが出てくるのだが、チェリビダッケチェリビダッケを忘れるときは、他には代えがたい瞬間がある。それに、やはりこのような洗練は稀だ。

ブラームス:交響曲全集

ブラームス:交響曲全集

なお、NML のそれに該当する CD がアマゾンにないので、仮にこれを貼っておきます。たぶんこの演奏だと思う。■フランクの「交響的変奏曲」で、ピアノはパスカル・ロジェ、指揮はロリン・マゼールクリーヴランド管弦楽団NMLCD)。

雨。
ミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。クリームイン・マフィン ブルーベリーチーズ+ブレンドコーヒー485円。青柳いづみこさんが高橋悠治について書いた本を読む。ゆたさんに教えてもらったもので、図書館に入らないかなと待っていたのだが、どうも見当たらないので購入した。自分としてはかなりゆっくりと読んでいる感じで、それも中身がおもしろすぎるからだ。始めの方に様々な高橋悠治伝説があれこれ書いてあるが、世代によって高橋悠治の捉え方はかなりちがうらしい。自分などは「畏敬」世代で、浅田さんの「高橋悠治はすごいんで…」みたいな言及が気になったものである。けれども、CD はそれほどもっていないので、じつは高橋悠治はあまり知らない。もっとも、一枚でも CD を聴けば、そのすごさは歴然というものである。
 それにしても、青柳さんは文章がうまくて、しかも自身が優れた音楽家だから、日本もこういう人が出るくらい豊かになったのだなと思う。その音楽の理解のレヴェルは自分などにはまさしく驚異という他なく、わたしなどは青柳さんの一〇〇分の一も音楽が聴けていないであろう。青柳さんの本を読む人が一定数いるというのは、やはりすごい。ただ、吉田秀和さんの文章を読んでいると自分は音楽が聴きたくなる衝動を覚えたものであるが、青柳さんを読んでいるとかなり意気消沈する。自分みたいな貧しい聴き方でも別にいいではないかと、ちょっと自分を励ましてやらないといけない。何でもだけれど、上には上、はるか上という存在がいるものだ。