こともなし

曇。
長時間眠る。

新潮社のウェブマガジン「考える人」の、「デモクラシーと芸術」という連載を毎回楽しみにしている。経済学者の猪木武徳先生によるもので、わたしが読んだ限りでは、音楽について書かれている。今回は「ショスタコーヴィチが試みた『内省的抵抗』」という題で、もちろんショスタコーヴィチについてであり、わたしは感銘するところがあった。ショスタコーヴィチは大作曲家であることは誰も疑えないが、その評価となると多くの人が口籠るところだ。それは、外的にはソ連の看板作曲家であったこと、内的には音楽語法的に(20世紀にもかかわらず)調性音楽であるから、ということになるからではないか。つまり、体制的な、保守的作曲家という。しかし、ショスタコーヴィチが、自分の「魂まで政治に売った」かどうかはわからないところである。わたしが好んで聴くショスタコーヴィチ室内楽(特に弦楽四重奏曲)、そしてピアノ曲であるが、これらが規模の小さなジャンルであるだけに、彼の「内心」がここに現れているように感じてしまうのはわたしだけではあるまい。気分的に非常に複雑であり、明るかったり、皮肉っぽかったり、怒りのようだったり、絶望的だったり。時にはベートーヴェン以降、もっとも深刻なものの音楽的表現であったりするようにも思えるくらいである。深い、深刻、そういうものを音楽に聴くのは、悪い趣味であろうか。楽しく、元気が出て、踊れる、確かにそういう音楽がいま求められているのは、わたしにもよくわかるところである。

蒸し暑い。
昼から県営プール。来週から団体利用のみなので、また当分行けなくなりそう。

中谷功治を読む。

NML で音楽を聴く。■バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第二番 BWV1004 で、ヴァイオリンはユーディ・メニューインNMLCD)。■ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲第十二番 op.133 で、演奏はドビュッシー四重奏団(NMLCD)。

ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲第三番 op.73 で、演奏はオルランド・クァルテット(NML)。

ベートーヴェンの十一つのバガテル op.119 で、ピアノはポール・ルイスNMLCD)。■シューマンの「フモレスケ」 op.20 で、ピアノは梅村知世(NMLCD)。