A・E・コッパード『郵便局と蛇』

晴。
音楽を聴く。■シューベルト弦楽四重奏曲第四番D46、第八番D112(コダーイQ、参照)。

昼から Perl でのファイル操作、ディレクトリ操作について調べていたら、あっという間に時間が経つ。本当に初心者なのです。
A・E・コッパード『郵便局と蛇』読了。コッパードは短編作家ということで、それもとても奇妙な短編を書く作家である。ぱっと見には幻想小説かなあという印象だが、訳者が述べているとおり、はっきりと幻想小説と云えるものは意外と少ないのかも知れない。何というか、なかなかおもしろいし、読ませるのだが、作者がどういう意図でこれを書いたのか、戸惑われるような小説、とでも云うか。オチの意味がまったくわからないと云ってもいい。何かを暗示しているような、そう、思わせぶりなのだが、何だろうと隔靴掻痒の感が否めないのである。例えば、本書最後の「シオンへの行進」でも、修道士が簡単に何人もの命を奪い、金品まで強奪しているのに平然としている理由がわからないし、途中から出てくる印象深い女性、マリアが、最後に次第に消滅してしまうわけもわからない。たぶん、じつは何の意味もないのであろうし、カフカの謎のように読み込んでみたい気もあまり起こさせないが、しかしやはり拙い謎ではない。そのあたりが、つい幻想小説を連想させてしまうところなのだろう。この作家、もう少し読んでみてもいいと思っている。なお、訳者解説はかなり参考になる。

郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)

郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)