晴。
カルコス。
昼から、岐阜県美術館の「三尾公三展」に行ってきた。クールでモダン、なかなか良かったです。写真を意識したであろう、スーパー・リアリズムで描かれた人間の顔及び顔のパーツ(眼など)が特徴で、マグリットをさらにモダンにしたような、シュルレアリスムの画家だと云えようか。写真週刊誌「フォーカス」の表紙を長らく描いたことでも有名だが、モダンアート的な作風は確かに現代にマッチしてはいるけれども、商業主義に消費されてしまう画家でないのもまた確かだ。個人的には、女性のヌードをあしらった、多少エロティックな作品が特にいいと感じた。
会場は意外に人がきていた。若い女性の姿もちらほら。展覧会としてはまあ成功したようで、その証拠に図録は完売していた。絵を観ながら図録を買おうという気になっていたので、完売はちょっと残念でした。会期末になってから行くと、こういうことになる。
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横手慎二『日露戦争史』読了。日録に書く。
- 作者: 横手慎二
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/04/25
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次いで、今日買ってきた別宮暖朗『日露戦争陸戦の研究』を読み始めたのだが、60頁ほど精読して嫌になってしまった。ちくま文庫の名を汚す愚著である。愚著たる所以を論証する気もないが、ちょっとだけ引いておこう。あとがきにこうある。「それでも作戦計画だけでは戦闘に勝利することはできない。各級司令官は与えられた命令の枠内で、独立して戦闘行動を決心し、それに見合った最適な戦機を発見せねばならない。最後は、戦場にいる兵士の勇気こそが決定的要素である。」(p.288)一見正しそうにもみえる意見だが、兵士の「勇気」(「士気」ではないのか)は、戦争に必要ではあるけれども、それだけでは十分ではない。むしろ、そのような「精神主義」こそが、無謀な太平洋戦争での敗北をもたらしたのではなかったか。
文庫版あとがきにはこうある。「それに反して、日本兵の戦闘振りは見事であった。現場にいた将軍の指揮も優秀であった。帝国陸軍は現場が優れ、エリート参謀のつくる作戦計画がいつも劣っていた。」(p.294)そう、現場が独走した日中戦争は、いったいどのような結果になったというのか。
また、本文でもロシアを、約束を守らない、「不信の国」(p.57)と呼び、ニコライ二世の「気質」(p.28)が歴史を動かしたように書くのは、小説ならともかく、歴史書の採るべきやり方ではないであろう*1。素人の歴史談義という他ない。
- 作者: 別宮暖朗
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/01/08
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