バツェヴィチ作品集/荒井献『トマスによる福音書』

日曜日。晴。
妹一家来訪。カルコス。
荒井献『トマスによる福音書』読了。「トマス福音書」というのは、一九四五年にエジプトで発見された、「ナグ・ハマディ文書」に含まれていたもので、新約聖書の四つの福音書以外の福音書外典)として、世界的なセンセーションを巻き起こしたものである。体裁としては、イエスの語録という形をとっている。著者の結論に拠れば、新約の四福音書に先行するものではないにせよ、独自の価値を持つ。一番の大きな特徴は、全体が「グノーシス主義」の色合いで染められている、ということだ。本書はこれを全訳し、テクスト・クリティックと詳細な注をなした上で、解説を加えたものである。学問的なことは自分には当然わからないが、素人が読んでもたいへんに面白いものである。

トマスによる福音書 (講談社学術文庫)

トマスによる福音書 (講談社学術文庫)


クリスティアン・ツィマーマンが中心となった、グラジナ・バツェヴィチ(1909-1969)の作品集を聴く。バツェヴィチはポーランドの作曲家(Wikipedia)。ピアノ・ソナタ第二番と、ピアノ四重奏曲第一番&第二番。ピアノ四重奏曲第二番がいい。細部に独特の個性が感じられる。それに比べると、同第一番、ピアノ・ソナタ第二番は、ショスタコーヴィチなのかバルトークなのか、どうしてこの曲が書きたかったのかというところが見えない。細部がどこかで聞いた風なパッセジの集まりのようである。いずれの曲も作曲技法的には水準を抜いており、全体の形式感もはっきりしているのだが。今あまり聴かれない作曲家なのも無理はないかもしれない。
バツェヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番、ピアノ五重奏曲第1番&第2番

バツェヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番、ピアノ五重奏曲第1番&第2番

  • アーティスト: ツィマーマン(クリスティアン),バツェヴィッチ,ダンチョフスカ(カヤ),シムチェフスカ(アガタ),グロブレフスキ(リシャルド),クヴィアトコウスキ(ラファウ)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2011/04/20
  • メディア: CD
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