『数学から見た物体と運動』/『宇宙を織りなすもの(下)』

晴。まだ暑い。
砂田利一『数学から見た物体と運動』に目を通す。かなり現代的な数学を使って、初等的な物理理論を、より一般的な形で書き換えようという試みである。一つの物理分野が、様々なレヴェルで記述できるということがよくわかる。また、コラムにある、バナッハ‐タルスキーのパラドックスなるものには驚かされる。

ブライアン・グリーン『宇宙を織りなすもの(下)』読了。前著『エレガントな宇宙』では超ひも理論をわかりやすく解説してみせた著者だが、本書では、その超ひも理論の発展などにはあまりページを割いていない。本書の特徴は、最新の宇宙論について詳しく述べてある点にあろう。何といっても物理学での最近の大きな発展は、まさしく宇宙論の分野にあるからだ。そのために、現時点における、時間と空間(さらにはまとめて「時空」)についての物理学の理解が平易に語られており、そうしたことを知りたい人には、いい本だと思う。しかし、「ホログラフィック原理」などというのが真面目に議論されているのが、現代物理学のおもしろいところだ。
宇宙を織りなすもの――時間と空間の正体 下

宇宙を織りなすもの――時間と空間の正体 下